【vol.23:サービス等生産性向上IT支援事業(IT導入補助金)】

朝から雨模様の昨日、午前中に広島市の窓口経営相談2社アドバイスの後、お昼ご飯を食べる時間も取れないまま広島県情報プラザへ移動。夕方まで広島県の「平成29年度中小企業向け支援制度合同説明会」へ参加して来ました。アベノミクスの一連の経済活性化施策の中で、今回の目玉は「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」です。
産業系補助金と言えば5年目を迎えた「ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金:1月18日締め切り)」が有名ですが、認知度の高まりとともに…また、最大3,000万円という補助金額の大きさ等から年々採択率が低下。前回「日本再興戦略2016」に位置づけられた第4次産業革命枠が新設されるも、技術的訴求ポイントが明確な製造業(ものづくり企業)や財務内容が充実している中堅・大手に比べ、中小零細の商業・サービス業の当選は厳しいというのが審査経験のある私の実感でした。
それに対し、この「IT導入補助金」の対象は中小サービス業(飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等)のみならず、医療法人、社会福祉法人、NPO法人にも対象範囲が拡げられています。補助対象はソフト(単体ではなく複合)に限定されハード設備は対象外ということ、また補助上限額も100万円(3分の2補助)と小粒ではありますが、申請書の作成は登録済ITシステムベンダーが代行することとなっており、不慣れな中小企業者が苦労して作成する必要がないので気軽にご活用を検討されてみては如何でしょうか。
なお、本補助金の1次公募期間は1月27日~2月28日ですが、今後追加で2次公募期間3月~6月が予定されています。
昨春、国の表彰制度として「日本サービス大賞」が創設されました。先進国の中で低位な生産性に留まるとされるサービス業への梃入れ元年として、日本の就業者の約7割が雇用されている第3次産業のバックオフィス業務を効率化し、新たな顧客獲得等の付加価値向上に資するITツール、アプリ等の導入を支援し、生産性の向上を図ることが目的とした本支援策に乗るか否かの判断は今後の経営力格差の分かれ道にならないとも限りません。お付き合いのある中小企業の皆様が″勝ち組(生き残り)″として戦略的に事業展開されることを期待します。

【vol.22:プレミアムフライデー(Premium Friday)始まる!】

昨年8月23日速報【経営のプチ勘所vol.16 Premium Friday(仮称)】…仮称が取れて、いよいよ今月24日(金)からスタートすることになりました。
本制度は「日本再興戦略2016」のGDP600兆円を目指す官民連携プロジェクトの一環としての所謂″①消費喚起策″が主目的であって、″②働き方改革策″としての位置付けは曖昧なほか、以下のような企業間格差や明暗二極化という問題が表面化するのではなかろうか。

①消費喚起は果たして可能か?…月末週は通例多忙というのが一般常識、25日給料日の会社が多いことで財布の紐をくすぐられることは予想される(2月は24日ですが…)。実際にアメリカの年末商戦を真似て、昨年11月25日(金)に先行実施された「ブラックフライデー」では消費支出が例年比20%増という効果も現れたとの報告もあります。
しかし、時節柄お歳暮など歳末消費の先食い前倒しと考えられるほか、日本の産業構造の約7割を占めるサービス等第3次産業の就業者は逆に書き入れ時ということで無理なため、果たして継続的な効果のほどはいか程か?少なくともドカーンという訳にはいかないのではと思われます。

②働き方改革につながるか?…長時間労働が問題視されている労働環境を勘案すると、毎月最終金曜日には午後3時に仕事を終えて退社しよう!という呼び掛けは一石を投じる効果は認められる(強制力は無い制度ながら…)。
昨今、電通問題で敏感になった大手各社が挙って残業削減しようとする動きがみられますが、そもそも氷山の一角が表面化したもの。また、働き方という構造改革にメスを入れるものではなく一時的な対応と見ざるを得ないこと、百歩譲って大企業は制度設計の工夫で対応可能としても、経営資源が脆弱な中小零細企業にとっては一人ひとりの時間を削減するのは非常に困難なことは言うまでもありません。

最近、自由裁量制の拡大により会社への出勤日数・時間数を削減し、代わりに自宅での労働を認めて潤いある生活・仕事の両立を目指そうという先進的企業が増えつつあります。こうした働き方が成立する前提として高い課業成果が問われるのは自明の理…会社にとって真に財(たから)となる少数のデキる″人財″はともかく、大多数のデキないぶら下がりの″人罪″には厳しい将来が予見されます。