一昨日の5月20日に中小企業診断協会より「永年貢献表彰」に授かり、お陰様で事務所開設から20年を迎えました。戦略提言型診断士という定評が浸透しているためでしょうか…最も多いご依頼案件は #経営計画 の策定支援で、これまでに何百社もの計画づくりをご支援させて頂いてきました。
“陸のものか海のものか判らない”信用希薄な駆け出しから10年目頃までは、公的機関からのご依頼案件(公共下請)の比率が高かったのですが、その後、一定の信頼ブランドが醸成されて以降、官民比率が逆転して現在では8割方の仕事が特命案件(民民元請)となりました。
民間案件の場合、ご依頼企業様の最大関心事は何と言っても業績アップにある訳で、私の仕事内容も計画策定に留まらず仕組みづくりやモニタリング、フォローアップ等々徐々に実行支援のウェイトが高まってきました。こうした中で必ず直面するのが最大の経営資源「ヒト」の問題、即ち、会社が掲げた経営目標の達成に向けて、最大パワーを発揮して柔軟に動ける組織づくりの設計・運用という経営課題の壁に正対することになります。この問題は一人親方やパパママストア等の小規模・零細なうちは形を潜めている(問題は顕在化しない)訳ですが、中小・中堅企業へと組織規模が拡大するに連れて表面化し、悪くすれば目標達成はおろか足元を掬われ兼ねない事態から会社の活力が奪われてしまうという厄介な状況に苛まれるケースも多々見られます。
では、どうすれば良いのでしょうか?私の結論は戦略実現に最適な組織の仕組みを造ること、即ち、上述の流れの通り、(1)本物の経営計画を策定(理念設計・SWOTに基づくコンセプトメイキング・各種戦略設計)し、(2)計画実践のマネジメント基盤を構築(PDCAの進捗管理・ボトムアップ型チームマネジメント)することです。(2)の中で「ヒト」の活性化に効果的な人財育成・評価制度の設計が重要で、そうした制度設計のステップは概ね次の通りとなります。
①中長期人財戦略の明示・共有‥‥現在から未来への人財育成、レベルアップ目標の明示と上司・部下間での共有
②人事評価・賃金制度の設計‥‥‥人財育成型の目標管理制度、納得感ある評価制度(賃金・モチベーション策等)
③全体最適型組織制度の運用‥‥‥人事評価・分析→考課・賃金検討会議→育成面談→PDCA達成支援(短中長期サイクル)
なお、上記の流れは飽くまでも概略ですがそれ故にどんな会社にも有効です。但し、実際に当該企業に最適な制度は決して一律のプロトタイプではなく、企業毎に異なる経営資源や目標を反映した客観具体的な制度設計と状況対応型運用が必要なことは言うまでもありません。ただ、組織の成長発展という長い道筋において、一見回り道のようにも思えるこうした考え方を踏まえて一貫した人財戦略を体現できれば、目先の業績の浮沈に左右されない本物の組織パワーの充実が図られ、結果として業績向上という果実が継続して稼得できるものと確信します。