【経営のプチ勘所vol.38:多品種少量生産・6σ】

 旧知の友人が役員を務める会社からの特命依頼で「ものづくり補助金」申請書の作成支援を行い〆切の4月27日の前々日書類提出を見届けました。彼は私が補助金頼みの経営は邪道という主義から当該補助金の書面審査を引き受ける一方、この手の代書依頼には対応しないことを承知の上で相談して来られたので、無礙には断れない仲なので取り敢えずアドバイスをさせて頂くつもりで遡ること2ヶ月前に面談に応じました。聞けば平成24年以来この補助金に応募すること4回、所謂私の忌み嫌う“補助金コンサル”が関与しても悉く落選してきたとのこと。こうした過去の経緯と企業内容を聴くにつけ、優れた技術を持つ会社でありながら“木を見て森を見ず”という感じでボタンを掛け違えたかのような申請内容のために不採択になっている様子が判りました。あれこれ指導をさせて頂いて数日後、再度強い要請があって本件お引き受けすることになったもの。
 審査ポイントの参考をお示しするならば、①技術面、②事業化面の計8項目における客観性・明確性・優位性・収益性・実現性などが問われることから、補助金云々を超えた全社経営戦略(森)があって初めて設備投資(木)が活かされるといったストーリーを構築すべき点では経営の王道通りと思います。当社の場合、建設機械・産業機械の大手メーカーから部品生産を請け負うだけの技術を有しながら、少品種多量生産タイプの低付加価値な下請的性格が色濃いという課題があり、そうした体質からの脱却を目指した対極の戦略方向性を訴求することになります。本稿では以下に、1.多品種少量生産、2.6σ(シックスシグマ)を概説しますが、これは当社が更に精密度を磨いて航空機・高速鉄道・発電プラント等の高付加価値かつ成長新分野に軸足を移していくための基礎理論ですが、当社を知れば知るほど楽しくなる遣り甲斐のある仕事に関わらせて頂いた満足感に浸ってGW休みを満喫できそうです。

1.多品種少量生産…小ロット生産を実現するには、段取時間の短縮、多能工化、生販売一体化などの基本的条件を整備しなけらばならない。そのためには、①管理システム改善、②物的システム改善の両輪についてメスを入れる必要があり、当社の場合は長年にわたって外注内製化に取り組み、中流(加工)工程では概ね自社一貫生産を達成。今般の補助事業の一方の目的である上流・下流工程の取り込みによりQCDレベルの大幅向上が期待されます。
①管理システム:生産計画、材量所要量計画、手順計画、発注、在庫把握、納期管理、日程計画・差立て、進度管理、工数管理、オペレーションコントロール・パフォーマンスコントロール等の一連のシステム化。
②物的システム:レイアウト計画、作業(加工)方法・段取作業・運搬・補完方法等の改善。

2.6σ(シックスシグマ)…シグマ(σ)は標準偏差と呼ばれ、6σとは100万分の3~4回というミス・エラーの発生確率を実現するというハイレベルな経営手法。補助事業の他方の目的は“キサゲ”と呼ばれる職人技で作り込んだ超高精度な加工機を導入することで、航空機・高速鉄道・発電プラント等の精密度が要求される事業分野への対応を目指すというもの。既存事業部門で大手メーカーを相手に磨き込んだ技術力を礎に展開可能なレベルにあり、既に各分野に関連する大手との商談が進んでおり実現可能性も高いと判断されます。

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