【経営のプチ勘所vol.60:「論語」を読むシリーズ~第11回:君子の道】

【⑪第11回:君子の道】

■子、子産を謂う、「君子の道四あり。その己を行なうや恭。その上に事うるや敬。その民を養うや恵。その民を使うや義。《公冶長篇》

‥(訳)孔子が子産を批評してこう語った。「あの方は、君子としての資格を四つも備えていた。第一に、態度が謙虚であった。第二に、君主に対しては敬意を忘れなかった。第三に、人民に対して恩恵を施した。第四に、人民を使役するのに節度を心得ていた」

⇒孔子の君子評たる恭・敬・恵・義、人を引き付ける魅力ある経営者として備えるべき資質と言えるでしょう。

■曾子、疾あり。孟敬子これを問う。曾子言いて曰く、「鳥のまさに死せんとするや、その鳴くこと哀し。人のまさに死せんとするや、言や善し。君子の道に貴ぶ所のものは三つ。容貌を動かしてはここに暴慢を遠ざく。顔色を正してはここに信に近づく。辞気を出だしてはここに啚倍ひばいを遠ざく。籩豆へんとうの事は則ち有司存せり」。《泰伯篇》

‥(訳)曾子は病が改まったとき、見舞いに来た孟敬子に言った。「鳥は死に際になると、ひときわ哀しい声で鳴く、人間は死んでいくとき嘘のない言葉を言い残す、と言われています。どうか私の話すことをしっかりと聞いてください。君子の守るべき礼には、大切なことが三つあります。第一は、立居振舞をきちんとすること。そうすれば粗暴さから免れることができます。第二に、表情を正しくすること。そうすれば信頼感を高めることができます。第三に、言葉遣いに気を付けること。そうすれば軽薄さから遠ざかることができます。祭祀の運営の如きは、係の役人に任せておけば宜しいでしょう」

⇒容貌・顔色・辞気に気を付けること、これが君子たる礼節の在り方と言われています。

■孔子曰く、君子に三戒あり。少き時は、血気未だ定まらず、これを戒むること色に在り。その壮なるに及んでは、血気方に剛なり、これを戒むること闘に在り。その老ゆるに及んでは、血気既に衰う、これを戒むること得に在り。《季氏篇》

‥(訳)君子は生涯に三つのことを警戒しなければならない。青年時代は血気が未だ定まらないので、色欲を警戒する。壮年期には血気が満ち溢れてくるので、闘争心を警戒する。老年期には血気が衰えてくるので、物欲を警戒する。

⇒君子も世俗に生きる人間、出家僧侶のように欲から完全に離れた存在ではないので、色・闘・物の3つの欲を自制して人格を高めていかなければならないとされます。

[`evernote` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です