【経営のプチ勘所vol.34:障害者就労A型事業所 破綻問題】

今朝のNHK「おはよう日本」7時台ニュースの特集(けさクロ:けさのクローズアップ)で採り上げられたテーマは『福祉事業所相次ぐ閉鎖の波紋』、広島でも11月に福山の「しあわせの庭」が経営破綻し、障害者(利用者)112人が一斉解雇され大きな問題になっています。先週12月22日の広島県障害者自立支援協議会(就労支援部会)でも議事の一つとなったテーマでもあるので、今年最後の投稿はこの問題について“経営の視点からプチ”考えてみます。
1.就労継続支援A型事業所とは
平成18年に制定された障害者自立支援法(平成25年度に障害者総合支援法へ改正・改称)の施行に伴い、それまでの福祉工場や授産施設等の様々な障害者福祉サービス事業が新類型に位置付けられました。大きく分けて民間企業への一般的な就職を目的とする就労移行支援事業と、通常の雇用が困難なため福祉施設の中で働き続ける就労継続支援事業に二分され、後者は更に就労継続支援A型(最低賃金以上の賃金支払条件)と就労継続支援B型(最賃法適用外の工賃支払)に細分されます。
平成27年度の一人当たり月額賃金(全国平均)はA型67,412円(広島県86,780円)、B型15,033円(広島県15,939円)と別に障害年金約65,000円(障害基礎年金2級受給額)と併せた収入はB型では月10万円にも満たず生計維持が厳しい実態にあります。因みに、当然ながら障害程度は就労移行が軽く、就労継続B型は重いという両極の中間にA型があり、賃金は図示グラフの通りB型は徐々に上昇傾向なのに対しA型は次第に低下、これは新制度では規制緩和によりそれまで主体であった社会福祉法人等に加えて民間企業・NPO法人等にも当該事業への参入が可能になったため、比較的取り付きやすそうなA型事業所が謂わば“野放し”感覚で増えていったからと思われます。
2.破綻に至る構造的課題
私は平成19年から県庁の依頼を受けてB型を中心とする低工賃の向上を目的とする支援を行っており、年数回の上記会議にもボランティア的に参加しております。この会議で約2年ほど前から“悪しきA型問題”という言葉が聞かれ始めました。それが今回破綻した事業所のように、障害者の雇用人数に応じて一人当たり最大3年間240万円交付される国の自立支援給付金(特定求職者雇用開発助成金等)を目当てにした安易な新規参入による混乱が各地で起きているという話題でした。障害者の立場からすると、今のB型等所属先事業所よりも高い賃金が貰えるA型事業所が雇ってくれるなら変わりたいのが親心…ここに目を付けた愛知県のコンサルティング会社が大々的に当該助成金をあてにしたA型事業所開設指南を吹聴し、楽に儲けたいという顧客がそれに乗っかった結果がこの事案の背景にあります。そういった内情を掴んだからか、NHKけさクロでは元凶の名古屋市を例示して「事業収入だけでは給料を賄えないA型事業所が約8割」というフリップを用意し、悪徳経営者が自身の古美術品購入に流用した取材画像を放送しました。因みに、新聞記事の方には中国地方でA型が一番多いのは岡山県で160ヶ所、2番目が広島県の87ヶ所と続き、破綻例も7月末に倉敷で5事業所223人の大量解雇に続いての今回の福山問題(平成27年5月開設)となっているように、水面下で岡山から備後地域にかけて悪しきクチコミ等で伝染していったようです。
念のため付言しておきますが…上記不正流用は論外として、障害者事業所には①社会福祉等一般事業会計のほかに、②就労支援事業会計を別建て区分する二本立ての会計制度で事業決算を行うよう制度付けされており、国の補助金は①前者(職員人件費・運営経費等)への充当は許可されているが、②後者の収益事業を伴う就労事業に係る収支不足(今回は直接利用者賃金に充当)は賄うべきではなく、この点を厚生労働省が今年4月の省令改正で厳格化したのが直接の原因と言われています。
3.学ぶべき経営姿勢
上述の通り、そもそもの主旨を勘案すれば事業者は当然正しい運用をするのが“王道”であって、決してずる賢い抜け道・裏道の“邪道”を歩むべきではありません。また、目先の儲け口としてそれを指南した黒幕が同業(中小企業診断士?)と知るにつけ余計に残念で堪らない思いです。
今回の事業所の場合、経営力の無さが指摘されていますが、それ以上に大事な真因は理念不在ということだと思います。以前、私は県庁事業にて県内約50ヶ所の福祉事業所を直接巡回訪問して経営指導をする機会があり、福祉という事業に参画する以上…ただでさえ組織にとって不可欠な「経営理念」が更に一層重要であることを確認しました。福祉事業所にとってお客様は障害者等の社会的弱者であって、万が一破綻等があれば行き場を無くしてしまうような社会的影響力のある事業体なので、自組織が潰れて破産して終わりでは済まない訳です。今一度、経営理念として必要な3要素、①存在意義、②経営姿勢、③行動規範を嘘偽りなく宣言し、利用者の皆さんの人生を永きに亘ってサポートしていく事業責任を全うして頂きたいものです。

【経営のプチ勘所vol.33:2017年ヒット商品番付(決まり手はウチ充)】

12月1日、年末恒例の第34回新語・流行語大賞2017の発表があり、今年の大賞は「インスタ映え」と「忖度」に決まりました。よく耳にし、確かに!…と頷ける言葉でしたね。去年は広島カープの25年振りセ・リーグ制覇の象徴用語「神ってる」が大賞に選ばれ、広島人として…CARPファンとして…誇らしかったことを想い出します。
さて、この時期、私が注目している他のランキングに、日経MJの【ヒット商品番付】があります。こちらは人気沸騰の商品・サービスなどを相撲の番付に擬えて発表するもので、消費の最前線を捉えた…謂わば時代のトレンドがわかる点で、商売人や経営者としてアンテナを敏感に伸ばしておくべきポイントが掴めるので要チェックすべきと思います。
去年の横綱は「ポケモンGO」と「君の名は」…大関は「シン・ゴジラ」と「AI」、今年の横綱は「アマゾン・エフェクト」と「任天堂ゲーム機」…大関は「安室奈美恵」と「AIスピーカー」。注目は2年連続の最高位に入ったAI(人工知能)、そしてタイトルにある通り…消費者の「ウチ(家・内)」の中での生活をより便利に楽しく充(み)たすようなインターネット通販関連の商品・サービスの深まりです。また、1億総活躍や働き方改革といった社会構造変化を踏まえたお悩み対応商品…例えば、小結の「シワ取り化粧品」「睡眠負債商品」など、従来から根強い健康関連ニーズを更に進化させる動きとして今後の注力ポイントの一端が垣間見られたように思われます。
因みに、個人的な興味としては、去年の小結…カープ優勝とオバマ米大統領の訪問で湧いた「広島」、今年の前頭七枚目…イズミ「LECT」が各々、全国番付入りしていることが嬉しい次第でした。

【経営のプチ勘所vol.32:マーケティング4.0の到来】

世界的に広く知られた近代マーケティングの父…フィリップ・コトラー「マーケティング4.0~スマートフォン時代の究極法則~」の第1刷発行日は2017年8月30日。昨秋、広島に来られた際にも、本稿HP【vol.14:コトラー来広~マーケティング4P+2P~】で紹介させて頂いて注目コトラーの最新刊だけに私も早々に購入していたところ…去る11月1日、愛読紙である日経MJが年1回発表する「第35回サービス業総合調査」の今年のタイトルとして早速採用、コトラー氏が提唱する概念が現実化してきたと報じられました。
今月の経営のプチ勘所では、当該記事の裏付けとなるマーケティング概念の1.0~4.0に至る構造的変遷を簡単に整理するととものに、最新の4.0概念に基づく収益拡大手法について解説してみたいと思います。
1.マーケティング1.0:製品中心~作り手による生産・販売志向~
1908年にフォード社が世界初の大衆車「T型フォード」を世に出して以来、工業化時代のマス市場(需要>供給)における関心はより多くの購買者に買ってもらうことであり、規格化と規模拡大で生産コストを低減する《製品管理》を軸にマーケティングという概念は1950年代の米国で市民権を得たとされます(注)。謂わば、1社独占の“作れば売れる”時代の生産志向と、その後競合他社も出現して“(自社製品を)いかに沢山売るか”という販売志向を通し、「機能」的価値を訴求する“1対多数の取引”原理のもとに展開していました。そのためマーケティング1.0の標準モデルは、マーケティング・ミックスとして知られる「4P」(Product・Price・Place・Promotion)を中心とした戦術的性格のものでした。
(注)コトラー最初の大著「マーケティング・マネジメント」では、①その源流はピーター・ドラッカー曰く1650年頃江戸時代に三井家が最初に開いた百貨店にあること、②マーケティングという言葉が初めて使われたのは1905年ペンシルベニア大学の講座とされています。
2.マーケティング2.0:顧客中心~買い手である消費者志向~
1970年代、石油ショック等の不確実な時代に入り需給バランスの逆転(需要<供給)で「4P」だけでやっていけなくなると、マーケティングの重要性は一層高まり「STP」(Segmentation・Targeting・Positioning)を付加した戦略的次元へと進化しました。「機能」的な物質ニーズに加えて「感情」的価値(マインド・ハート)を追求する洗練された特定市場の消費者を、情報化社会の進展による《顧客管理》技術で差別化して“1対1の関係”を築くことで効果的な需要創出を図ろうと展開しました。
3.マーケティング3.0:人間中心~社会的責任を両立する価値志向~
グローバル化のティッピング・ポイント(転換点)とされる1989年…パソコンがビジネスの主流に入り込み、90年代初めにインターネットが誕生して以降…価値主導の段階に入ったとされています。現代我々は選択する製品・サービスに「機能」的・「感情」的充足だけでなく「精神」的価値も求めるようになってきました。スティーブン・コヴィー博士の言う全人的存在、即ち「肉体」「マインド」「ハート」「精神」の人間の基本的構成要素の全てに訴求して“魂の暗号を解く”努力が必要になってきた訳です。マーケティングはこれまでの「縦の関係」に加え、「横の関係」に支えられたクチコミ・SNSを含めた他人の意見を信頼する“多数対多数の協働”時代へ移り変わりつつあります。このため企業や商品の選考基準に環境や社会貢献等を含めた《ブランド管理》の要素が加わりました。マーケティング3.0の将来モデルは「3i」(Bband-identity・Brand-integrity・Brand-image)というコンセプトから成る完全な三角形を形成することにあるとしている。
4.マーケティング4.0:~3.0の自然な発展形としての自己実現志向~
コトラーの「マーケティング3.0~ソーシャル・メディア時代の新法則~」が出版されたのは2010年9月、最新刊マーケティング4.0はデジタル経済におけるカスタマー・ジャーニー(注)の質の変化に適応する必要があるため…3.0の自然な発展形として示したもの。本稿では第3部「デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用」から売上増大のためのオムニチャネル・マーケティングの実行策として、オン・オフ様々なチャネルを統合してシームレスで一貫性のある顧客経験を生み出す手法が紹介されています。
伝統的マーケティングでは「認知」~「行動」までのセールス・サイクルを扱うのに対し、デジタル・マーケティングでは「推奨」に進ませることを重視する。マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチであり、その手法として、①モバイル・アプリを使ってデジタルな顧客体験を高める、②ソーシャルCRMアプリを使って顧客をカンバセーションに参加させソリューションを提供する、③ゲーミフィケーションを使って望ましい顧客行動を促すことができるとしています。CS顧客満足理論の進化版としても注目すべきでしょう。
(注)製品やサービスを知った顧客が購入・推奨に至るまでの「5A」の道筋。認知→(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)→行動(Act)→推奨(Advocate)。

【経営のプチ勘所vol.31:勉強の哲学(東大・京大で一番読まれている本:千葉雅也 著)】

今日から自宅事務所はリフォーム工事入り…朝一番で業者との打合せを済ませると早速、足場組立が始まり煩いため逃げ出すように広島市立図書館へ。折しも各種資格試験シーズンで賑わう自習室の片隅に陣取り(自分も中小企業診断士受験時代に足繁く通い詰めた…)、今夏の新聞記事で気になって購入していた本「勉強の哲学」(千葉雅也:著)を持ち込み受験生に同化して独り“読書の秋”に浸りました。
本書選定の理由は、私が経営者に期待したい「生き残るのは変化に適応する者」という持論(≒ダーウィンの進化論)と、千葉さんの「この勉強論は現時点で生活を変える可能性が気になっている人に向けられている」との考え方がシンクロしていると思ったからです。哲学書なので難解な論調の本ですが、4章建ての各章毎に私なりに咀嚼した為になるポイントを以下紹介します。
第1章 勉強と言語
「勉強」は、むしろ“損をする”こと…かつてのノっていた自分をわざと“破壊する”こと…換言するに、勉強とはわざと“ノリが悪い”人になることである。
「言語」は、環境の洗脳を受け人生を左右し“支配”もするが、以前のノリ①から距離を置いて新しいノリ②へ“解放”する変更可能性も有する重要なコードである。
可能性の空間を開き自由になる条件は、「言語」の“道具的”な使用ウェイトを減らし“玩具的”な使用にウェイトを移すこと…即ち、深い「勉強」により「言語偏重」の人になることである。
第2章 アイロニー、ユーモア、ナンセンス
“玩具的”な言語使用とは、“ツッコミ”₌①アイロニー(根拠を疑う)と“ボケ”₌②ユーモア(見方を変える)で「コードの転覆」を図り別の豊富な可能性を見出すような思考スキルのこと。
①アイロニーと②ユーモアが過剰になると無意味になるので、第3極として“無意味”₌③ナンセンスな極限形態を考慮に入れて…その手前に留まることがポイント!
そうした試行錯誤の折り返し作業を“仮固定”して意味を成り立たせる足場となるのが「享楽的こだわり」=究極のノリであり、そのこだわりは「勉強」を通して変化する可能性を秘めている。ゆえに、「勉強」とは新たな「言葉」に出会い直すことを実現するものである。
第3章 決断ではなく中断
前章までの原理論を踏まえて本章から実践編に入る。
「勉強」を進めるための基礎的なテクニックとして、①現状把握⇒問題化⇒キーワード出し…という経営分析に通じるフレームワーク、②追求⇒連想の合わせ技を駆使して勉強を深め、③大きくて抽象的な間接的分野⇒近くて具体的な直接的分野へと複眼的に捉える思考法を磨く。
こうした過程においてどこかで享楽的に「比較の中断」を図り、ある程度でよしとする「勉強」の“有限化”を図ることが必要である(決して“最後”の「勉強」をやろうとしてはいけない!)。大切なのは「中断」(比較を続けながら比較をストップする=仮固定)であって、別の可能性につながる「勉強」は継続することにある。
自己分析ツール「欲望年表」をつくることで、自分の「勉強」の可能性は広がる…賢くなるために効果的な方法である。
第4章 勉強を有限化する技術
「勉強」の足場とすべきは専門書(○研究書…×一般書)であり、「勉強」の基本は“まとも”な本を読むこと(信頼できる著者による紙の書物)。最初の足場を仮固定できるような“入門書”を読むこと、出来れば複数の入門書⇒教科書⇒基本書の順序で進めること。
「勉強」とは自分で文献を読んで考察するのが本体であって、教師の話は補助的なもの即ち「勉強」の有限化(このくらいでいい)の一助と位置づける。従って「勉強」するにあたって信頼すべき他者とは、知的な相互信頼の空間に属している「勉強」を続けている他者=研究=学問である。
その他勉強を有限化する技術として、①テクスト内在的読書法、②二項対立への注目、③プロ&アマ両輪モードの勉強法、④タイムラインノート術、⑤箇条書きフリーライティング法(横断的に発想する技術)などの方策が有効である。

【経営のプチ勘所vol.30:人生100年時代をどう生きる(田中真澄 講演会のまとめ)】

去る8月26日(土)に「1万円出しても聴きたい講師Best3」で有名な田中真澄先生の講演会があるので一緒にどうですか?…とのある社長さんからのお誘いを受けて福山に行ってきました。私自身は恐縮ながら先生のことを存じ上げていなかったのですが、本HPvol.19に採り上げた「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」(2016年11月3日刊)と関連したテーマでもあり、また、Best3講師という興味(他の①稲森和夫、②船井幸雄さんは聴講済)にも魅かれて物見遊山で出掛けたものの、帰りには著書2冊を購入しサインまで頂くハマリ様(笑)。その理由は、日頃私なりに感じていたことを先生がピシャリ!と代弁して下さった感覚に陥ったから…本稿ではマスコミに登壇されない秘密のベールに包まれた田中講演録のエッセンスをまとめてみました。
【積極的に生きる~人生は今日がはじまり~】
《凡人の成功哲学:プロローグ》1.0(普通)の百乗は1、0.99(怠け者)の百乗は0.36、1.01(勤勉者)の百乗は2.70。即ち、小さな努力をコツコツ積み重ねれば秀才を超える!
《人生100年の生き方:本題》100歳時代の人生戦略。最近、LIFE SHIFTという本が出たが、内容は私が38年前から主張してきたこと。
1.人生観の変革
◆(従来)人生80年:就学期+就職期(65歳)+(以後は)定年後の余生~89%がサラリーマン社会ゆえ“武士道”で良かった~
◇(今後)人生100年:定年後は余生では過ごせない(年金が貰えなくなる時代)→余生という字は皆さんの辞書から消すこと!余生から 就商期~事業主としての“商人道”が必要で、自営業者・プロで生きること!(何か得意がある筈…それを磨いて活かすべし)。
ex.①右近サービス社:意外に需要があるのが「老人の話を聞く仕事」(元祖便利屋:お年寄りの話聞き業)
ex.②越中富山の薬売り:グループ繁栄の秘訣は一つ…七薬の訓え「楽すれば楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽がはるか楽楽」(日本は世界一長寿企業が多い。その中でも300年続く富山の薬売りの格言)
2. 仕事観の変革
◆(従来)日本人の89%はサラリーマンで8H労働基準法が適用される⇒快楽中心&自己中心の考え~定年後惨めな人生~
◇(今後)自業主およびその親族は労基法116条適用外の特権がある⇒勤勉志向&お客様中心・第一の考え~(人が遊んでいる時に働くことで)長い人生を勝ち残れる~
・自営業の成功の源は「良いお客に恵まれること」(商売はお客様の数で決まる…お客様が増えれば増えるほどいい)~We live on the list.顧客リストが生命:金額の“額”が大事(額は“客”を記した“頁”=顧客リスト)~
・成功する上で大事な事=①引き,②運,③学力~ex.①年賀状は出すこと!大体300以上の顧客リスト、ex.②私の名刺!〈年中無休24時間受付〉を1行加えた~
3.能力観の変革
◆(従来)所属価値:人の2倍働けば絶対成功する(日本電産創業者:永守重信)~∵8H労働+朝2H早目(遅起きより早起きが1.5倍の能率)=10H×1.5倍能率で2倍を実現~
◇(今後)存在価値:あなたは何ができるか、何が得意なのか。
・『能力』=「技術」10%+「知識」10%+『心構え』80%:毎日繰り返しの態度~機関車が確りしていれば後の客車は何とかなる~
・『心構え』(心を作る習慣:心構えは毎日作り直す必要がある)=前向き・積極的・明朗性ある…●『行動』+●『考え方』
●『行動』の習慣
…①早起き:6:30までに起きる~健康になり能率が上がる(人間は昼行性の動物だから当然)。ex.自衛隊の起床ラッパ5:55。
…②歩く:1秒2歩!~分(×60倍)×時(×60倍)=7,200歩けばボケずに済む∴目標1万歩/日(よい病院はこのテンポで看護師が歩いている…患者が元気になる)。ex.歩くことは最高の化粧水:若さのもと。
…③しつけ3原則(ホームトレーニング):「挨拶」+「返事」+「後始末」
・「挨拶」挨拶人間に不幸なし(人生を肯定してくれる:発声→勇気→自信:あかるく、いつも、さきに、つづける)
・「返事」ハイ=拝!(①声②姿③学問:返事は好感音♪ソの音で!自己抑制の気持ちが育つ~俺が俺がのガを抑え、お陰お陰の~)
・「後始末」キチンと脱いだ靴は揃える!ex.商店調査:周りが汚れていると気枯れする(商店街・お店・自宅)~これらのことは単純だが「知るとやるとは天地の差!~
●『考え方』の習慣
…①一点集中:一専多能「深く穴を掘れ!直径は自然に広がる」この順番が大事!ex.一寸法師:弱者>強者(一点の針先に集中して打ち込む cf.広い面積に打っても痛くない)
…②コツコツ、コツコツ:「一芸8年 商売10年」「桃栗3年、柿8年 汗と涙の13年、それでもだめなら20年」~慌てることはない、人生は長い、理想に向かって地味にコツコツ泥臭く努力する~
…③明朗性:「笑顔」+「陽転思考」
・「笑顔」毎朝起きたらミラートレーニング:笑顔は能力∴鏡の前で笑顔をつくる訓練~笑顔×3マメの肯定語調(相手を認める称える:周りも明るくなり、自分も明るくなる)ex.ブスは醜女でなく、毒(暗い顔)~
・「陽転思考」(プラス志向):どんな状況でも物事を明るく考え直す癖をつける。ex.松下幸之助は毎日30回「私は運がいい」と言い続けていた。

【まとめ】
・一所懸命:その姿に世間の支持が集まる。~ex.「所」靴磨きのオバちゃんが「はぁ~」と言いながら磨き続ける必死さに感動するcf.「生」ずっと命を懸けるとくたばるよ~
・人生は今日が始まり(昨日まではリハーサル):他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる(人間の生きる目的は一生涯自分を磨き、世のため人のために死ぬまで働くこと)。80才で死ねりゃいいがそうもいかない時代を低空飛行で100才までいくか…終身現役で流れ星の如く輝いて生きて…PPK(ピンピンコロリ)を目指そう!

【経営のプチ勘所vol.29:7月1日(土)経営考房 湖稜庵研修所プレゼンツ「経営の達人3本建て講演会」~②広島大学生物生産学部 三本木副学部長:講演要旨~】

「バーナード組織論の現場での応用」
広島大学生物生産学部 副学部長 三本木 至宏
〇謹読者(私)の研究動機
・バーナードが大著「経営者の役割(The Functions of the Executives)」を発行したのは1938年。21世紀の今日もなお組織論のバイブルとされる同書だが、現代社会での経験からくる違和感から、改めて原書を読み込み3つのエピソードを通して幾つかの最適訳を提起しつつある(※現在全370頁のうち61頁訳読:研究途上)。
〇エピソード(1)
・組織の存続条件は従来、①有効性(effective)と、②能率(efficient)と表現され、謂わば経営学の常識とされてきた。それに対し、三本木氏は現場フィルターで濾過した新訳として、①効果(目的の達成)と、②効率(個人の満足)を掲げ、両条件をより明確に対比し、①はショッピングモール、②は商店街に擬えて、衰退した商店街をSC化するという解決策の限界を指摘。
〇エピソード(2)
・有名な公式組織の権限受容説で前提となっている「無関心圏」という概念など、バーナードが“学者”発ではなく米電話会社の社長として“実業家”発(ドラッカーと同じ土俵)で組織社会に切り込み共通理解としての経営者を紐解いたこと。
〇エピソード(3)
・奈良薬師寺食堂にある阿弥陀浄土図を示し、バーナードが概念を定義する時は「色気のない言葉」を使うこと、そして三本木氏は「色のない深層を土台とする色気は美しい」と表現された。
【山根:評】3つのエピソードとも、三本木先生によるバーナードとの時空を超えた対話が根底に流れていることに気付かされる深遠な研究発表でした。小生も学生時代に「経営者の役割」は読みましたが、何の疑問も持つことなく今日まで使ってきたキーワードについて、正に的確な指摘を聴いてハッと後ろ頭を殴られたような新鮮な感動を覚えました。

【経営のプチ勘所vol.28:7月1日(土)経営考房 湖稜庵研修所 プレゼンツ「経営の達人3本建て講演会」~①アヲハタ㈱ 野澤社長:講演要旨~】

「私の今に至る歩みと会社の経営理念、目指す姿」
アヲハタ㈱ 代表取締役社長 野澤 栄一
〇私の歩み(自己紹介)
・田中真澄 氏の成功哲学との出会いから、1989年にはマンダラート(思考の整理方法)で自身の人生設計図を描いてきた。また、北海道日本ハムの大谷翔平 選手が花巻東高校時代にマンダラートで掲げた目標、①日本一になる、②日本人最速の163km/hを記録する、③ドラフトで菊池雄星(先輩)を越える8球団から1位指名を受ける、の身近な例示により思考整理の有効性についても言及されました。
・①夢(青春常駐)、②情熱(勇猛精進)、③執念(即是道場)を人生の経営理念とし、今日の働き甲斐、生き甲斐が持て、自身と会社の成長が一致する会社を目指して奮闘中とのこと。
〇私の事業観(仕事観)
・企業の目的は「社会貢献」、“利益”はそのための大切な原資。「会社に関わりある人」との信頼関係を強めながら“利益”を最大化することに全力を注ぐことが“正しい利益追求”のあり方である。
・社長の使命は会社の永続的存続・発展をはかる=「未来責任」を果たすこと。その為になすべきは、①事業革新、②集団意識のマネージメント、③関係性の構築(維持・向上と開拓)である。
〇アヲハタグループの経営理念
・社訓「正直」「信用」「和」とは、缶詰は中が見えないからこそ、人々の期待を超える信頼を大切にしなければならないという創業来の想いが込められており、こうした経営理念を体現する人材、信用、技術力がグループ成長の源泉である。
・ノートルダム寺院「三人の石工 の逸話」から、“働く”ということの意味は自分以外の誰かを幸せにすること(傍を楽にする)。
〇アヲハタグループの目指す姿
・中長期的には「ジャムのアヲハタ」から「フルーツのアヲハタ」へ針路を向け、“食生活”にとどまらず“生活シーン”を彩る会社を目指す。
・それを実現する羅針盤として、①先ずは「イチゴのアヲハタ」というイメージを確立するため、全社で展開して改革と成長を進めること、②「イチゴ」をセンターピンに展開して、「フルーツのアヲハタ」へと発展していく。
【山根:評】中小企業診断士の受験勉強を糧に、当時出向中の子会社の経営再建を成功させた野澤社長らしい理論と実践が伴う素晴らしい発表でした。あれから約10年が経過して、本社ならびにグループトップに就任された今日、若い頃から夢を持ち目標を定めて歩み‥そして様々な苦労を乗り越えてこられた経験を次世代の社員皆んなに伝えたいという情熱と愛情に胸が熱くなりました。

【経営のプチ勘所vol.27:第50回小売業調査】

1967年に始まった日経MJの小売業調査が半世紀を経て‥第50回目の結果が昨日28日(水)記事にて発表されました。今月の勘所は本記事を概観してみました。
第1面のトップ記事&挿絵写真は広島のLECT!通常のSCでは5割を占めるアパレル比率を3割に下げる「衣食住」ならぬ「知食住」のコンセプトが紹介されてます。
今回の調査では、小売り・消費再編 の半世紀と題して‥百貨店(大丸・三越etc.)→大型スーパー(ダイエー・イオンetc.)→専門店(コンビニ・ユニクロ・ニトリetc.)→インターネット通販(アマゾンetc.)への業態盛衰を消費者のライフスタイルの変化 と共に分析。
デフレ進行も相俟って長きにわたり小売業を席巻して来たGMSも曲がり角…ライフスタイルの変化に対応できないお店の淘汰・閉鎖が相次ぐ今日、首位のイオンは有望なGG時代(グランドジェネレーション:55才以上のシニア層)に対応するべくスクラップ&ビルドを進めているとのこと。また、行政も買い物難民対策で「買い物バス」を走らせるで協調するなど、これらの「イオンスタイル」冠名の店舗に生まれ変わりつつある様子が紹介されています。
私はLECT開店前夜のプレ・オープン時に、最初の雑感としてネットショッピング(クリック仮想店舗)との差別化が中途半端との手厳しい寸評を発信させて頂きました(4月28日vol.25)。その後も、地元西区民でもあるので仕事の合間に何度も足を運ばせて頂いております。
広島の地元イズミが中心となって打ち出した新業態LECT が、果たして小売業の再活性モデルになり得るのか…。全国的に注目されるリアル店舗(モルタル)だけに、今後も地元の消費者目線 で定点観測してみたいと思います。

【vol.26:業績連動型の人財戦略(育成・評価制度)とは…】

一昨日の5月20日に中小企業診断協会より「永年貢献表彰」に授かり、お陰様で事務所開設から20年を迎えました。戦略提言型診断士という定評が浸透しているためでしょうか…最も多いご依頼案件は #経営計画 の策定支援で、これまでに何百社もの計画づくりをご支援させて頂いてきました。
“陸のものか海のものか判らない”信用希薄な駆け出しから10年目頃までは、公的機関からのご依頼案件(公共下請)の比率が高かったのですが、その後、一定の信頼ブランドが醸成されて以降、官民比率が逆転して現在では8割方の仕事が特命案件(民民元請)となりました。
民間案件の場合、ご依頼企業様の最大関心事は何と言っても業績アップにある訳で、私の仕事内容も計画策定に留まらず仕組みづくりやモニタリング、フォローアップ等々徐々に実行支援のウェイトが高まってきました。こうした中で必ず直面するのが最大の経営資源「ヒト」の問題、即ち、会社が掲げた経営目標の達成に向けて、最大パワーを発揮して柔軟に動ける組織づくりの設計・運用という経営課題の壁に正対することになります。この問題は一人親方やパパママストア等の小規模・零細なうちは形を潜めている(問題は顕在化しない)訳ですが、中小・中堅企業へと組織規模が拡大するに連れて表面化し、悪くすれば目標達成はおろか足元を掬われ兼ねない事態から会社の活力が奪われてしまうという厄介な状況に苛まれるケースも多々見られます。

では、どうすれば良いのでしょうか?私の結論は戦略実現に最適な組織の仕組みを造ること、即ち、上述の流れの通り、(1)本物の経営計画を策定(理念設計・SWOTに基づくコンセプトメイキング・各種戦略設計)し、(2)計画実践のマネジメント基盤を構築(PDCAの進捗管理・ボトムアップ型チームマネジメント)することです。(2)の中で「ヒト」の活性化に効果的な人財育成・評価制度の設計が重要で、そうした制度設計のステップは概ね次の通りとなります。
①中長期人財戦略の明示・共有‥‥現在から未来への人財育成、レベルアップ目標の明示と上司・部下間での共有
②人事評価・賃金制度の設計‥‥‥人財育成型の目標管理制度、納得感ある評価制度(賃金・モチベーション策等)
③全体最適型組織制度の運用‥‥‥人事評価・分析→考課・賃金検討会議→育成面談→PDCA達成支援(短中長期サイクル)

なお、上記の流れは飽くまでも概略ですがそれ故にどんな会社にも有効です。但し、実際に当該企業に最適な制度は決して一律のプロトタイプではなく、企業毎に異なる経営資源や目標を反映した客観具体的な制度設計と状況対応型運用が必要なことは言うまでもありません。ただ、組織の成長発展という長い道筋において、一見回り道のようにも思えるこうした考え方を踏まえて一貫した人財戦略を体現できれば、目先の業績の浮沈に左右されない本物の組織パワーの充実が図られ、結果として業績向上という果実が継続して稼得できるものと確信します。

【vol.25:クリックvs.モルタル~LECT開店に想う買物行動の変化と提案力~】

※本投稿は4月25日個人FB投稿(※前半)を経営考房の勘所シリーズ(※後半)に再編したものです。
今日は午前中に新規先協議(東区)と既存先継続契約(中区)の業務を終え、本日プレオープンの #LECT (西区)へ行って昼御飯。
13時を過ぎているので混雑なく食べられるかと思いきや‥初出店に弱い広島人の行列が一番長かった日本橋2看板店の一つ「日本橋海鮮丼つじ半」で、ご祝儀がてら事業者側が粗利面で一番喜ぶ “竹”(980円税別)を並んで食べました。貝はコリコリ、刺身もまずまずながら…待ち時間が長かったせいか、締めの出汁茶漬けが温めだったのが残念!
噂通りご飯屋さんは充実(國松や蓬莱など広島の人気店も集結)してるので、次回は開店フィーバーが落ち着いた頃合いに、一番人気の「日本橋天丼金子屋」に行ってみようと思ってます♪
腹が一通り起きて店内ウォッチング‥①天井まで連なった壁面陳列が印象的な代官山 #蔦屋書店 のHiroshima版 T-SITE(店員さんが忙しそうだったので、棚の上の本をどうやって取るのか質問しそびれてしまった!)、②北関東~中部~北陸地方を席巻するHCの雄 #CAINZ でお買い物(福井での仕事の時に度々訪れてましたが、流通激戦区で揉まれているだけあって‥やはり品揃えと低価格は群を抜いてます!)。
入店時間のお昼過ぎには満杯だった駐車場も、16時過ぎ帰る時間にはガラガラ‥#オーバーストア 元年の気配も!?また、ライバルは #ネット通販 というLECT店長談もありましたが、私が先日ネットで購入した4割引商品(定点観測)が平気で定価販売されていたり…#消費者行動 の進化を見誤っている観もあるようなのが懸念されます。因みに、私のお財布は気がつけば2万円がなくなってましたの巻(笑)?!!

さて、本日28日(金)#LECT はGRAND OPENを迎え、テレビでは遠方から多くのお客さんで賑わう様子が報じられています。そこで先日25日(火)の個人投稿を受けて、#クリック(#ネット販売)vs. #モルタル(#リアル店舗)について所感を加えさせて頂きたいと思います。
日本の小売業販売構造は時代と共に移り変わり、ピークの1991年バブル時に10兆円に迫る勢いだった #百貨店 売上は長期低落傾向を辿り、2016年には1980年以来36年振りに6兆円を割り込みました。その一方で #EC市場 は毎年約二桁の伸び率を辿り、前の年に百貨店総売上を抜いて高い成長を続けています。先述の「ライバルはネット通販」という談話を裏付ける数値と言えます。
“毎日、行きたくなる。わざわざ行きたくなる。”は #LECT のCMで使われているフレーズ…消費者の買い物行動における非日常の期待感をくすぐる名キャッチコピーですね。
ところが、実際の買物となるとどうでしょう?。これだけスマホが普及した今日、リアル店舗で何か面白い“発見”があっても、恐らくその商品をネット検索してみて、結局“#価格”で購入先を選定する方が少なくないのではないでしょうか?こうした #購買行動 に太刀打ちするだけの“商品提案力”や“説明納得力”がお店側には求められます。
先日の経験で言うと、他店・他サイトで販売されている価格を熟知すること…NB等一般的な商品でなく消費者マインドを理解した付加価値商品を発掘すること…個客の興味に合せたツボにハマった使用価値提案を行うこと…それには商品を発掘するバイヤー、店頭接客する店員など“#人財力”を相当に高めていく必要があります。