GW休み前日の4月27日(金)、広島市西部の石内地区(佐伯区)にイオンの新型SC戦略店舗「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ・アウトレット広島)」がオープンした。去年の4月には同じ西部の商工センター(西区)にイズミのコト消費提案型新店舗「LECT(レクト)」が開業しており、5月6日(日)の日経MJ紙第1面の見出しに“SCコト消費、仁義なき戦い~8割初物vs.地元№1、広島の陣~”として特集記事が組まれるなど、既に飽和状態が囁かれつつある国内32兆円の巨大なショッピングセンター市場の今後を占う動きとして全国的な注目を集めている。
私も昨日5月8日(火)に「ジ・アウトレット広島」を初訪問、GW期間中は混雑が報じられていたが、この日は平日で私の訪ねた午後には雨が重なったことから駐車場も余裕がありゆっくり視察することが出来ました。小売業最大手の8兆3,900億円の営業収益を誇り国内170ヶ所のSCを展開するイオングループでありながら地域毎では必ずしもトップシェアではない実情の中、中四国・北部九州を地盤に地域性を武器に競合するイズミは売上規模ではイオンの10分の1にも満たない規模でありながら地域№1の位置に君臨する謂わば目の上のたん瘤的競合店。
記事によると、イズミの商業施設やこの地域になかった新たな価値を提供するべく、①物販・飲食店舗では8割近いテナントが広島県初出店、②県内にはない通年利用のスケートリンクやボーリング、VRゲーム等の体験型エンタメ施設が充実するなど、イズミの牙城広島を切り崩すべく従来型のイオンモールとは異なるフォーマットを備えた新たなチャレンジ店舗だとされている。
同店訪問の印象として、①海外ネットワークを生かした初物等ブランド価値(グローバルソーシング)のみならず、②地域の作家や地元店舗を集めた現地化(地域密着ローカリゼーション)にも配慮され、かつコト消費という共通テーマを持ちながら「LECT」を凌駕する大規模性が備わった中四国最大級の店舗(商圏は車で110分)はインバウンド需要も取り込み市内外から専門性を求める莫大な集客力を十分予見できるものであった。一方、規模では後塵を拝することになったレクトには、ホームセンターCAINZと連結した日常的な買い物の利便性があることから地元客を中心に根強い需要も期待できるとみられる。いずれにせよ中小店にとっては一層厳しい環境に晒されることは避けられないので、これら大型店同士の同質的な競争に巻き込まれないだけの価値磨きで切磋琢磨を図って“キラリと光る個店”として生き残り…勝ち残りを果たすべく頑張って頂きたい。
この両店とも我が家から直線距離で5㎞圏内に立地しているので、今後も折に触れて訪問してイオンvs.イズミの広島対決と商業地図、小売業態の動向について定点観測してみようと思う(※左?写真:ジ・アウトレット広島、右?写真:LECT)。