【経営のプチ勘所vol.47:2018年広島市広域商圏調査~人気分散 競争激しく:支持率7地区でアップ~】

 12月10日(月)は多くの企業・役所等での冬のボーナス支給日。20年前に脱サラした身の小生には縁遠く若干羨ましくも感じるこの日ですが、世の中はX`mas・お正月と消費が盛り上がる歳末セール時、小売店側ではいかに販売を伸ばすか…水面下での諸々の工夫を行っておられる商売人の皆様も多いことでしょう。
 こうした中、先月11月27日「2018年広島市広域商圏調査」の結果が報じられました。①支持率トップは昨年に続いて『府中町周辺』(16.4%)、②第2位は『紙屋町周辺』(16.0%)、③第3位『八丁堀周辺』(15.4%)とベスト3の顔ぶれは前年と同じでした。しかしながら、何れも大規模改装が奏功したトップ集団で、①イオンモール広島府中の増床(一昨年11月)、②そごう広島店本館化粧品売場・バスマチストアの開店(今年4月)、③パルコ広島店(今年春・秋に40%の大改装)ともに、大きなお金を掛けながらいかにお客様を惹き付けるかの努力が背景に垣間見られます。
一方、④昨年のレクト開店(西区)に続いて今年4月にはジ・アウトレット広島(佐伯区)が開業した『商工センター周辺』(9.2%)の増勢の陰で、⑧支持率を大きく下げた『廿日市市役所周辺』(5.8%)、⑤2年連続マイナスの『宇品・皆実周辺』(8.7%)と優勝劣敗の構図は明らかとなりました。LECTはイズミ系、The Outlets はイオン系の“コト消費”を標榜する新業態商業集積なので、見方を変えれば“モノ消費”で中心街を凌駕し成長を続けてきた既存の郊外型大型量販店が曲がり角を迎えたことの証左と言えよう。毎年調査を実施している広島修道大学(商学部:川原教授)は、広島商圏は「オーバーストア(店舗過剰)の状態になり、中心街と郊外の競争だけでなく、郊外エリアの間でも競争が激しくなっている。ターゲット層を明確にした特色ある店づくりが集客のポイントになる」とコメントされています。
 翌日から掲載された解説編の「競争の構図(商圏調査)から」のタイトルは、【上】郊外店 店舗過多に~シェア食い合い激化~(11月28日)、【中】中心街 改装で特色~再開発への対応が鍵~(11月29日)、【下】「コト消費」に照準~ネット通販に対抗~(11月30日)。小生評としては、オーバーストアは言わずもがな…ネット通販も既報(vol.45:小売再生)通り…、再開発に関しては平成10年の「中心市街地活性化法」制定により全国の中小都市で特色ある街づくりが進展していく中で、広島はあまりにも遅れ馳せながらの市街地再開発を伴う賑わい回復の動きなので決して褒められたものではない(※因みに本年10月に紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定)。しかしながら、益々高齢化が進展していく我々の生活環境の中で郊外分散型モデルの限界は明らか(無尽蔵な住宅団地の外延化が西日本豪雨災害の甚大な被害にも帰結)であり、都心部における公共交通や公共施設の再集約化を伴うコンパクトシティ化による求心力の回復は不可欠な流れと期待したい。

【経営のプチ勘所vol.46:2018年ヒット商品番付~平成の輝きネバーエンド、踊り出す次代のヒット~】

 12月5日(火)に日経MJ(流通新聞)恒例の「2018年ヒット商品番付」が発表されました。今年の東横綱は『安室奈美恵』、対する西の横綱は『TicTok』、大関は東『スマホペイ』、西『サブスクリプション』という顔ぶれ。他にも、東西小結に『Vチューバー』・『eスポーツ』、『カメラを止めるな!』(西前頭筆頭)、『新型クラウン』(前頭3枚目)、『バトルロイヤルゲーム』(前頭7枚目)などインターネット技術(SNS等)を応用した幕内力士が多数。皆なわかる方はどれほど居られるだろうか(正直、私は半分程度…利用経験はゼロです)?
 前稿でネット攻勢に対抗するリアル店舗の術として「小売再生」を採り上げましたが、Windows95の発表から23年…我々の暮らしは着実にIT社会化が深化浸透しています。私も常々、C.ダーウィンの進化論を用いて“変化に適応する者のみが生き残る(そうでない者は淘汰される)”とSWOT分析の重要性を力説していますが、その変化の速さはドッグイヤーと称されるだけに想像以上のもので、今更ながら眼を見張るものがあります。
 ところで、今回の巻頭タイトルには、平成最後に相応しい商品・サービスが並び、30年間を懐かしむような過去の流行のリバイバルが若い世代にも受け継がれているとある。アムラーのほかDA PUMPの『U.S.A』(東前頭筆頭)である。これはテレビを観ていると否が応でも目に飛び込んでくるので皆さん知っていますよね。若者ウケした勘所は“ダサかっこよさ”なんだそうで、他にも『グッチ』のリバイバルブーム、ダサいけど機能性が評価され人気の『ダッドシューズ』(東西前頭9枚目)などが入幕しています。
 来年2019年は平成最終年、働き方改革、消費税アップと大きな変化が目白押しで、価格や時間の使い方が今以上に敏感になると言われています。
何れにせよ、時代の感性を受け止めチャンスに変える能力を経営者は失わないことです。ヒット商品番付には若者の方が相性も受容度も高いものが多いようですが、中高齢の経営層には経験に裏打ちされた羅針盤がある筈です。新商品・新サービスには使ってみて初めて解るものも多いだけに、来るべき変化の“肝心なところ(勘所)”をちゃんと理解し、的確な経営判断をすべくトレンドを抑え感性を磨いておきたいもの。先ずは、いくつになっても好奇心を失わない若さと、人の話を素直に聴く謙虚さを大切に日々精進しましょう。

【経営のプチ勘所vol.45:小売再生~リアル店舗はメディアになる~】

これは私が今年読んだ中で最も衝撃的な本だった。小説と違って、【起承転結】が明確な4部構成のいかにも論文調スタイルだが、各部タイトル毎に予想を超える説得力のある内容…特に従来の小売店にとって経営の厳しさを伝える鬼気迫るレポートの数々に圧倒された。
私がこの本を手に取ったのは、最近の自分の購買行動を振り返るにつけ、何故かネット購入が多いなあと感じたから…、対するリアル店舗での買物と言えば、食料品を除くとごく僅か、広島カープの優勝セールで買った家電製品位のもの。それも以前、Amazonで買ったアクションカメラが壊れたため、その代用品として5年間修理保証目当てでたまたまEDION店頭で見かけた後継新製品にそそられたから。それ以外の高額品の殆ど、例えばドローン、車載冷蔵庫&クーラー、ポータブル充電器等々はAmazon・楽天・Yahooのいずれかという実態だった。そう言えば最も高額だった自動車は、日産ディーラー経由で普通に買ったが、これもこの本によるとネット通販での購入が市民権を得つつあるとのこと。
こうした中、今週日曜の11月11日、中国の「独身の日」のセール情報が日本でも大々的に報じられた(※写真参照)。なんとたった一日の取引額が2,135億元(約3兆5千億円)と、楽天の2017年1年間の取扱高の約3兆4千億円を超えたというもの。因みに、我が国最大の小売業であるイオングループ年商が約8兆7千億円、続くセブン&アイグループが約6兆7千億円ということから見ても如何に巨大であるかが窺われる。私も知らなかったが、世界最大の電子商取引市場は今や中国で、2015年にアメリカを抜いてその差は2倍にも開いているとのことで、Amazon(米国)のみならずアリババ(中国)恐るべしだ。いやそれだけではない…、私が購入したドローンも充電器もmade inChina、通販市場のみならず製品技術もいつの間にか世界のトップクラスに君臨し始めた中国パワーは脅威だ。

【起】第Ⅰ部:小売はもう死んでいる
 「もう小売店は店をたたむしかない」で始まる本章では、世界最大の小売業ウォルマートの減退と引きずり下ろしたAmazonの飛躍に象徴されるアメリカの業界変動、上述の世界の現状が赤裸々に示されている。特に、Amazonは実店舗の独壇場とされてきた唯一の聖域である「顧客サービス評価」においてもウォルマートをはじめとする殆どの従来型小売企業を圧倒して首位に立つまでになったとのこと。これは私も感じていたことで、ネット購入品の不具合(返品等)を何の抵抗もなくスムーズに対応してくれるAmazonには驚きと同時に感謝さえ覚える体験をした。
 従来型広告を頼りに目先(短期)の収益確保に必死な既存小売業者とは対照的に、迅速な配送への飽くなき挑戦やプライム等の不採算承知のプラットフォーム(長期)を次々構築して消費者を惹き付けるAmazonの余裕の差は歴然としている。
手軽さや利便性が売りのオンラインショッピングに対して、手間や過酷さがつきまとうオフラインショッピング。その差は開く一方…今日私たちが思い描く実店舗のような情報の少ない場に敢えて足を踏み入れる意味はなくなる(第7章)。

【承】第Ⅱ部:メディアが店舗になった
今、小売の世界で起こっている変化は二極化だ。ネット通販が成長し、実店舗は淘汰以外の選択肢がない(第8章)。それは我々診断士が常識として学んできた購買意思決定モデル、即ちパーチェスファネル(AIDAモデル)をも覆す…上下反転して実店舗の3つの役割が消滅してメディアが商品配給の場=店になりつつある。
私は消費者が購入を決めるまでの一連の流れがなくなってしまったらと考え及ぶにつけ、マーケティング(MK)もインストアマーチャンダイジング(ISM)の公式が崩壊する怖さを認識させられた。小売業経営者諸兄はこのゾッとする事実に気付いておられるであろうか?
現在のEコマース3.0の発展形として、AIで実現するCコマース(対話型コマース)の世界、更にはVR(仮想現実)の実用化によってネット通販最大のネックである返品問題が解消されたショッピングの未来形(視覚・触覚・嗅覚でも商品を確かめられるようになる)が説得力を持って紹介されている。
第Ⅱ部最終13章のタイトルは「もうリアルな店はいらない?」で結ばれている。

【転】第Ⅲ部:店舗がメディアになる
 【起】【承】でこれでもか!と言わんばかりに強迫され続けてきたが、ここで【転】じて実店舗の必要性を説いて我々を安心させてくれる。例えば、人間にとってショッピングや人混みは潜在意識に深く刻み込まれたニーズであり、買い物の場での興奮やわくわく感は決してデータ主義のみでは提供不可能であること。また、楽しいショッピング体験は一種の麻薬効果と同等にドーパミンの放出を伴うものであること。更には、意外なことにミレニアル世代(1984年~2004年に生まれた世代)の若者ほど実店舗を高く評価している(オンラインショッピングよりも店舗を訪れる方を好む)という好都合な事実が伝えられている。
それを裏付けるように、最近ではAmazonほかネット通販専業業者が次々と実店舗を設置する動きがあることが紹介されている。これは最終的な消費額は実店舗での買い物客を下回り易いという事実から導かれた対応策であるが、彼らにとってはショールーム機能を持つことでハロー効果が期待され、実店舗をオープンさせると多くの場合はオンラインの売上が急増(約4倍に伸長)するという…「実店舗=オンライン販売の増加」という方程式が成立するためである。
じゃあ…既存の小売店はどうあるべきなのか?つまり現実のお店の殆どが月並みで退屈の極みであり、ろくなことがないと思われていることにこそ問題の本質が隠されている。そうとは知らず、全くその逆にデジタル体験等の若者迎合的なイベントを繰り返す小売業の姿は滑稽極まりないものと言えよう。
実店舗の目的、そしてその成否を測る物差しについて、抜本的に考え方を改める必要がある(第15章)。
最後に、未来のショッピング空間として纏められているのは、「商品」流通を促進するためだけの存在を超えた「体験」を流通させるという姿が示されている。「ストア」から「ストーリー」へ…私も何度となく伝えてきた所謂“コト消費”への移行(モノ消費でなく)そのものと言ってよかろう。品揃えより独創性を…、友達の数よりも本当の交流を…、常設型から仮設型へ…、オムニチャンネルから瞬間重視へ…(第17章オムニチャンネルの終焉)。

【結】第Ⅳ部:小売再生戦略
 最終第Ⅳ部の結論は既に明快であろう。本稿ではその答えの詳細を紹介することを敢えて憚ることにして、その章タイトルのみ以下に列記しておく。何故ならば、私が常日頃接している中小企業の多くの経営者に共通する問題、即ち、勉強しない…深く考えない…悪癖を乗り超え“変わろう”という意識を持った方のみが生き残ればいいと考えるから。世の中が大きく変化しているにも拘わらず、“変われない=変わらない”会社は、消費者にとって不必要な存在になることをどうか肝に銘じて頂きたい。
・第20章:他者に破壊される前に自己破壊できるか
・第21章:小売のイノベーションを再定義する
・第22章:アイデアだけでなくプロトタイプを
・第23章:創業者のように考える
・第24章:帝国ではなくネットワークを築け
・第25章:小売は死なず

如何でしょうか?テーマ名だけで言いたいことが判る方…一応、生き残りの予備軍として自信(決して過信でなく…)を持って頑張って下さい。そういう経営者なら私も応援させて頂きますから…(笑)。

【経営のプチ勘所vol.44:因果関係~対症療法のワナ~】

最近、物忘れが激しい(;_;)/~~~
6月末に持病の“ぎっくり腰”を再発し、漸く元通り走れる程度に回復したかと思った矢先…今度は先月末頃から左肘痛のため重いモノが持ちあげられない事態に陥っている。
自分的には西日本豪雨災害の土砂掻き出しボランティアに行きたくても行けない忸怩たる思いから脱却できるか…と思った矢先の腕の不調ということで、兎に角情けなさだけが募る毎日です。
この間まで運動不足から発症した炎症かと軽く考えていたのだが、3週間位経過した今も容体の改善がないことから原因を探ってみた。不図思い出したのは…この間の東日本大震災後の東北視察旅行の際、大雨の乳頭温泉(秋田県)で、①滑り易い木道を、②滑り易いゴムサンダルで歩いていて‥転んだ事件でした??。
他の人達が居たので、尻餅をつかず‥左腕で格好よくリカバリーした積もりでいましたが(温泉♨湯治や飲酒?で一時的に和らいでいたので忘れてた‥)、それから痛みが始まったということ‼
その間、自分では筋を伸ばしたり…腕をグルグル回したり…兎に角、運動不足系が原因と勝手に思い込んでいたため、更に症状を悪化させる作動系の間違った対症療法を毎日続けていた訳です?。当然ながら、打撲なのか…骨折なのか(多分これはないでしょうが?)…動かさず安静系の治療をベースにすべきことからすると、まるで真反対の選択をしてしまいました。

翻って業としている企業経営の世界を考えてみました。この20年間の支援過程で出遭った色んな企業の絵が走馬灯の如く頭に浮かんできました。
①経営者(経営陣)が部下を信頼できず…貴重な現場情報を汲み上げることなく唯我独尊の命令で誤った方向に会社を導いて業況悪化を招来してしまった企業は数多。こうしたケースは高齢経営者のワンマン企業に多く見られ、若手社員や後継者を適切に育てて来なかった風通しの悪い企業の行く末です。
②この間、NHK番組「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場した某地元信用組合。そこは全国的にも優れた金融機関として評価されていて、番組構成上も一見すると素晴らしいと思われるものでした。ところが…私だけでなく仕事上絡んだ方の裏評は逆のもので、悪い会社の例示としてよく言われる有能な社員の退社(定着率の悪さ)が横行しているのは地元では知る人ぞ知る周知の内情だ。
①②の何れも…組織内部の人間ほど、真剣に行く末を憂える人はいない訳で、上に立つ人間は心して自覚して措かなければならないこと。
多くの現象の背景にある…多くの原因、その中から真因を的確に捉え正しい経営を行うことの難しさゆえ、「実るほど首を垂れる」如き謙虚な姿勢が求められます。
(※写真:久々に晴天の3連休…おとなしく?犬散歩(静養)、ひじ痛サポーター)

【経営のプチ勘所vol.43:東日本大震災の被災地巡り旅(後半:宮城県)】

【東日本大震災被災地巡りvol.3】
無料高速道路の三陸復興道路の整備が進んで、アクセスは格段に向上‥県境を超えて宮城県気仙沼へ入りました。
前回訪ねた際、車中泊して印象深いJR気仙沼線の大谷海岸駅‥他の町が太平洋に向かって高い防潮堤が当然のように存在するのに対し、ここは全く無防備に見え不思議な気分のまま駅前に到着。
周りにあった筈の街並みが無くなり、海岸すぐ近くの駅だけがポツンと存在を主張してきた。ただ、よく見るとプラットホームから海岸に直結していた高架橋がない‥更に線路が寸断されている。ホームには“あの日を忘れないためそのまま保存”との主旨の慰霊碑がありました。
観光客の気配の全く感じられないこの場所に佇むにつけ‥胸を抉られる思いがしました。

【東日本大震災被災地巡りvol.4】
①南三陸町;志津川お魚通り商店街、②石巻市;アイトピア商店街、この2箇所は経済産業省「(新)頑張る商店街100選」に選ばれた‥あの日までは確かに元気な中小企業者の居た街である。
私も勉強のため訪れ、そして飛び込みにもかかわらずその秘訣を教えて頂いたことがある。
果たして皆さん大丈夫だっただろうか?‥いつも気掛かりだった。
①志津川は有名な防災対策庁舎の近くに新しく造られた「南三陸三三(さんさん)商店街」が大にぎわい(^-^)v…市場も機能していて、鮮魚で人気というコンセプトが健在で安心しました。
②石巻は沿岸部を除いて‥以前の建物も結構残っていて一見大丈夫そうに見えましたが、営業中のお店は半数以下といった感じ。前に話を聞いた商店街リーダーのお店は確認できませんでした。
最後に、桜の名所「日和山公園」に上がって街の様子を確認。ここは学生時代のGW休みに、青森から自転車で東北地方縦断した際の最終地点。花見客に交じって賑やかな街並みを見下ろした記憶が戻り、やるせない空虚感に包まれました。


【経営のプチ勘所vol.42:東日本大震災の被災地巡り旅(前半:岩手県)】

【東日本大震災の被災地巡り旅vol.1】
あちこち気儘な東北の旅をして参りましたが、本日より本来の旅の目的「東日本大震災」の被災地巡り。
今日は久慈から釜石まで‥朝一“じぇじぇじぇ”の「あまちゃん」ロケ地の小袖海岸では☀晴れてましたが、南下に従ってやはり☔雨模様。
昼御飯で被災者さんに貢献しようと、田野畑の仮設店舗「浜茶や食堂」でウニ丼を食べようと探して行くもお休みだったので、次の田老で3店舗を構える地元名店ながら全て津波にのみ込まれ消滅‥新たに道の駅で再出発された「喜助屋食堂」で名物のどんこ丼➕わかめラーメンのセット(¥1,200)を頂きました。
更に南下して山田町では湾内いっぱいに牡蛎筏が浮かぶ様子を見て少し安心しましたが、どの町も高い防潮堤が続々と整備中で‥特に宮古では湾内ぐるりと万里の長城の如き高い壁(石段50段以上?‥)が取り巻く異観には絶句でした。
実は自分は震災8ヶ月前の夏に、この地区の商店街視察を兼ねて主な観光地には足を運んでいるので、今回は北山崎・浄土ヶ浜などのメジャー所はスルーして‥思い入れのある所を中心で廻ろうと考えてました。
しかし、釜石大槌町の根浜海岸へは未だに通行止めで訪ねること能わず‥代わりに最近こけら落としが終了したばかりで来年のWカップ?ラグビー会場になる鵜住居震災復興スタジアムに寄ってみました。

【東日本大震災被災地巡りvol.2】
東北地方は☔雨が続き、然したる観光(無論登山は無理)は出来ずやや悶々とした旅の空の下です(*_*)。
次に訪ねたのは、岩手県南部の大船渡~陸前高田‥高田の松原も街もすっぽり無くなってしまっていた。あの「奇跡の一本松」?モニュメントツリーに群れる観光客の列が虚しさを増します。
ここを以前訪ねた2010年7月、当時4才の元気盛りの愛犬?が松原をダッシュしていた画像?も見つけたので‥比較アップします(※割愛)。

【経営のプチ勘所vol.41:西日本豪雨災害に想う】

広島では7月9日…東日本では6月中に早々と梅雨明け宣言が出された今年は極端な空模様のようです。特に、西日本では6月28日から7月8日にかけて台風7号と梅雨前線の停滞で、例年通りの梅雨末期の大雨がやって来て、特に7月6日(金)夜の豪雨災害は市内のみならず県内広範囲に及び、4年前の市北部の土砂崩れを上回る未曾有の惨禍を巻き起こしました。
私も前日の5日(木)に車で尾道・福山の備後行脚に出掛けた折、午後から激しい雨が降り続き…帰り道既に至るところで路上に雨水がオーバーフローしており、非常にヤバイ雰囲気を感じながら広島に戻ってきました。翌朝は季節柄よく症状が現れる持病の尿管結石&ぎっくり腰の治療に市民病院へ行って来ましたが、この日も終始強い雨が続いて遂に夕方以降…各地で大災害が発生してしまいました。

経営的には自然災害は避けようのない不条理であり、ある意味仕方ないことかも知れない。しかしながら、東日本大震災をきっかけに大企業では非常時の緊急対応計画なるものの策定が進み、事業の機能不全を極力避ける仕組みが採り入れられつつある。そもそも大企業は組織上の拠店が分散していて、停止した機能の代替を図る組織内連携に視野を置くことで自らの裁量で円滑な運営を進めることが可能である。
それに対し、中小企業は立地上の制約や経営資源の脆弱性から自助努力による挽回には限界がある。恐らく今後、国(行政)から再建資金の無利子融資等の各種被災地支援策が打ち出されると思われますが、問題は逆境にめげずに再び復活しようとする経営者の意欲が保持できるか否かである。いくら無利子でも今以上の多額の借金を借り増して長期間の返済を余儀なくされることを思うと、尻込みして廃業を選択する経営者も少なからずあろうかと斟酌する。
瀬戸内の温暖な気候に恵まれ、これまでの常識としては災害に無縁とされてきた広島で中小企業者の支援を業として行う者として、その辺りの実情について、7年前に発生して既に集中復興期間の5年間を経過した東日本大震災の被災地訪問を今夏中に行ってみて肌身に感じてみたいと思う。

【経営のプチ勘所vol.40:破天荒!サウスウェスト航空~NUTSは健在か?~】

ナッツ・リターンと言えば大韓航空副社長(ナッツ姫)の“非常識”極まりない事件でしたが、同じナッツ(NUTS)でも良例として使われるのが米サウスウェスト航空です。こちらは俗語で“変わり者(どうかしている)”という意味で用いられるNUTSでMBAケーススタディに必ず登場する有名企業、航空業界で小さなこの会社が“非常識”な成功を収めた秘訣を著した「破天荒!サウスウェスト航空~驚愕の経営(1997年)」の米字書名が「NUTS! Southwesut Airlines,Crazy Recipe for Business and Personal Success」なのです。この本は小が大を制する痛快な武勇伝を綴りつつ、各章末尾に“小規模企業で成功する秘訣(Success in a NUTSHELL)”が要約されていて、私も拙稿『斧:経営名著』のコーナーに何度か引用記事を紹介させて頂いてきました。
そのサウスウェスト航空が4月17日にエンジン爆発事故を起こして同社初の死亡事故となる乗客女性の上半身が窓から吸い出されたのに続き、その半月後5月3日にも再び窓に亀裂が入り緊急着陸という連続トラブルが報じられ株価下落等の影響も避けられないとの情報も聞かれる事態に直面しているとのこと。LCCの先駆けと言われる同社は、①低運賃、②多頻度運航/定時到着(ピーク・オフピークの2段階運賃制度)、③10分間ターン(他社は50分とされる往復駐機時間を大幅に短縮)で飛行機の稼働率を劇的に高める“非常識”なビジネスモデルを開拓したことは有名ですが、その土台としての「世界で最も安全な航空会社10傑」に格付機関から選定されていた安全神話が揺らぎつつあるのは事実でしょう。
同社は1967年に創設されたが1971年に就航するまで先行大手のイジメ等から草創期の危機に晒されたが、それを乗り切った1973年以降は米航空業界で唯一黒字経営を継続してきた。そのエンジンの一つが業界初の利益分配制度の採用で、株式の10%を従業員が所有し経営者感覚を持って現場で自主的に行動する社員に競争力の源泉があるだけに株価下落の影響は少なくないと思われます。
しかしながら、この事故に関する他の情報ソースには、事故機に搭乗していた女性機長(元米軍戦闘機パイロット)の的確な対応や事故後の会社としての補償対応などの賞賛の声も聴かれるなど、“強靭”で“創造的”、しかも“臨機応変”と言われるサウスウェスト航空の個性が健在な様子が窺われます。これは官僚主義的な大企業に反発する自発能動的な社員が引き寄され、彼らを信頼して任せ決してレイオフせず家族的な固い結びつきを大事にする会社の優れた経営資源があるためでしょう。これは日本企業の良さと悪さを内包したアンチテーゼでもあり、多くの企業に学んで欲しい革新的なDNAです。
さて、今般の連続事故の影響をどう見るか?…数年後恐らく、この逆境が更にこの会社を“成長”させたという評価を得るものと私は確信してます。

【経営のプチ勘所vol.39:SCコト消費…広島の陣】

 GW休み前日の4月27日(金)、広島市西部の石内地区(佐伯区)にイオンの新型SC戦略店舗「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ・アウトレット広島)」がオープンした。去年の4月には同じ西部の商工センター(西区)にイズミのコト消費提案型新店舗「LECT(レクト)」が開業しており、5月6日(日)の日経MJ紙第1面の見出しに“SCコト消費、仁義なき戦い~8割初物vs.地元№1、広島の陣~”として特集記事が組まれるなど、既に飽和状態が囁かれつつある国内32兆円の巨大なショッピングセンター市場の今後を占う動きとして全国的な注目を集めている。
 私も昨日5月8日(火)に「ジ・アウトレット広島」を初訪問、GW期間中は混雑が報じられていたが、この日は平日で私の訪ねた午後には雨が重なったことから駐車場も余裕がありゆっくり視察することが出来ました。小売業最大手の8兆3,900億円の営業収益を誇り国内170ヶ所のSCを展開するイオングループでありながら地域毎では必ずしもトップシェアではない実情の中、中四国・北部九州を地盤に地域性を武器に競合するイズミは売上規模ではイオンの10分の1にも満たない規模でありながら地域№1の位置に君臨する謂わば目の上のたん瘤的競合店。
記事によると、イズミの商業施設やこの地域になかった新たな価値を提供するべく、①物販・飲食店舗では8割近いテナントが広島県初出店、②県内にはない通年利用のスケートリンクやボーリング、VRゲーム等の体験型エンタメ施設が充実するなど、イズミの牙城広島を切り崩すべく従来型のイオンモールとは異なるフォーマットを備えた新たなチャレンジ店舗だとされている。
 同店訪問の印象として、①海外ネットワークを生かした初物等ブランド価値(グローバルソーシング)のみならず、②地域の作家や地元店舗を集めた現地化(地域密着ローカリゼーション)にも配慮され、かつコト消費という共通テーマを持ちながら「LECT」を凌駕する大規模性が備わった中四国最大級の店舗(商圏は車で110分)はインバウンド需要も取り込み市内外から専門性を求める莫大な集客力を十分予見できるものであった。一方、規模では後塵を拝することになったレクトには、ホームセンターCAINZと連結した日常的な買い物の利便性があることから地元客を中心に根強い需要も期待できるとみられる。いずれにせよ中小店にとっては一層厳しい環境に晒されることは避けられないので、これら大型店同士の同質的な競争に巻き込まれないだけの価値磨きで切磋琢磨を図って“キラリと光る個店”として生き残り…勝ち残りを果たすべく頑張って頂きたい。
この両店とも我が家から直線距離で5㎞圏内に立地しているので、今後も折に触れて訪問してイオンvs.イズミの広島対決と商業地図、小売業態の動向について定点観測してみようと思う(※左?写真:ジ・アウトレット広島、右?写真:LECT)。

【経営のプチ勘所vol.38:多品種少量生産・6σ】

 旧知の友人が役員を務める会社からの特命依頼で「ものづくり補助金」申請書の作成支援を行い〆切の4月27日の前々日書類提出を見届けました。彼は私が補助金頼みの経営は邪道という主義から当該補助金の書面審査を引き受ける一方、この手の代書依頼には対応しないことを承知の上で相談して来られたので、無礙には断れない仲なので取り敢えずアドバイスをさせて頂くつもりで遡ること2ヶ月前に面談に応じました。聞けば平成24年以来この補助金に応募すること4回、所謂私の忌み嫌う“補助金コンサル”が関与しても悉く落選してきたとのこと。こうした過去の経緯と企業内容を聴くにつけ、優れた技術を持つ会社でありながら“木を見て森を見ず”という感じでボタンを掛け違えたかのような申請内容のために不採択になっている様子が判りました。あれこれ指導をさせて頂いて数日後、再度強い要請があって本件お引き受けすることになったもの。
 審査ポイントの参考をお示しするならば、①技術面、②事業化面の計8項目における客観性・明確性・優位性・収益性・実現性などが問われることから、補助金云々を超えた全社経営戦略(森)があって初めて設備投資(木)が活かされるといったストーリーを構築すべき点では経営の王道通りと思います。当社の場合、建設機械・産業機械の大手メーカーから部品生産を請け負うだけの技術を有しながら、少品種多量生産タイプの低付加価値な下請的性格が色濃いという課題があり、そうした体質からの脱却を目指した対極の戦略方向性を訴求することになります。本稿では以下に、1.多品種少量生産、2.6σ(シックスシグマ)を概説しますが、これは当社が更に精密度を磨いて航空機・高速鉄道・発電プラント等の高付加価値かつ成長新分野に軸足を移していくための基礎理論ですが、当社を知れば知るほど楽しくなる遣り甲斐のある仕事に関わらせて頂いた満足感に浸ってGW休みを満喫できそうです。

1.多品種少量生産…小ロット生産を実現するには、段取時間の短縮、多能工化、生販売一体化などの基本的条件を整備しなけらばならない。そのためには、①管理システム改善、②物的システム改善の両輪についてメスを入れる必要があり、当社の場合は長年にわたって外注内製化に取り組み、中流(加工)工程では概ね自社一貫生産を達成。今般の補助事業の一方の目的である上流・下流工程の取り込みによりQCDレベルの大幅向上が期待されます。
①管理システム:生産計画、材量所要量計画、手順計画、発注、在庫把握、納期管理、日程計画・差立て、進度管理、工数管理、オペレーションコントロール・パフォーマンスコントロール等の一連のシステム化。
②物的システム:レイアウト計画、作業(加工)方法・段取作業・運搬・補完方法等の改善。

2.6σ(シックスシグマ)…シグマ(σ)は標準偏差と呼ばれ、6σとは100万分の3~4回というミス・エラーの発生確率を実現するというハイレベルな経営手法。補助事業の他方の目的は“キサゲ”と呼ばれる職人技で作り込んだ超高精度な加工機を導入することで、航空機・高速鉄道・発電プラント等の精密度が要求される事業分野への対応を目指すというもの。既存事業部門で大手メーカーを相手に磨き込んだ技術力を礎に展開可能なレベルにあり、既に各分野に関連する大手との商談が進んでおり実現可能性も高いと判断されます。