3月15日(木)に広島商工会議所小売商業部会(小生所属)の二本立てセミナー「企業成長の源泉“従業員満足(ES)”について考える」を聴講してきました。
1.前半:広島修道大学商学部松尾准教授の基調講演「従業員満足とインターナル(社内)・マーケティング」
①サービス・プロフィット・チェーン、②インターナル・マーケティングの両理論に基づいて、サービス業の人手不足と生産性向上、働き方改革をテーマに現状と課題について論究されました。スカンジナビア航空の「真実の瞬間」をはじめ、リッツカールトンホテル、スターバックスコーヒー、サウスウェスト航空など有名ネタを基にどこまで斬り込まれるか!…と興味津々で聴き進みましたが、人に投資⇒エンパワメント⇒従業員満足で定着率アップを図り離職を防ぐという、私にとっては取り立てて目新しい内容ではなく若干一般論的に終わったのは残念でしたが、体系的な知識の復習という面では役立つものでした。
但し、最後に触れられた「人員確保・増大の落とし穴」で、①働かない社員・働く意思のない社員の増加、②組織は腐敗する(=腐ったリンゴ問題)と、《能力》×《働く意志》の高低4つのマトリックス整理は面白い内容で、理想的従業員は大手へ行って中小企業は採用しにくいため、ヤル気は有るが能力の低い従業員をちゃんと研修で伸ばす必要がある点は頷けるものでした。
※下図(左):当事務所作成のBSC・SPC講義レジュメよりES・CSの関係性を概説。
2.後半:㈱フレスタ人事総務部の事例発表「『働きやすさ』と『働きがい』を実現する組織風土創り」
ご当地の有力食品スーパーであるフレスタは一消費者(実店舗・宅配)として頻繁に利用させて頂いていますが、この取り組み事例紹介を聴いて企業としての戦略性の高さに正直驚かされました。
先ず、ヘルシストスーパー実現のための“5つの健康”、①地域(継続的CSR・ブランディング活動)、②商品(健康Bimiとライフスタイル型商品)、③サービス(利便性の向上・オムニチャンネル)、④従業員(働きやすさ・モチベーション)、⑤健全な経営(KPI=ROI・ROA)という基本戦略を構築。
次に、④従業員に対する“働きやすさ”を実現すべく現状課題を組織活力診断によって的確に分析して公平感と柔軟性のある人事諸制度を構築・運用、“働きがい”の創出のために個々の従業員の動機にきめ細かくフォローして有給休暇の取得促進や社内表彰、面談等を通して満足度アップを図るなど、「風土」「評価」「研修体系」など教学する組織を目指した諸々の示唆に富んだ取り組みに感心しました。