【経営のプチ勘所vol.56:「論語」を読むシリーズ~第7回:君子と学】

【⑦第7回:君子と学】

今回から尊敬される経営者にはどんな態度が求められるのか?
古来、帝王学の中で「君子」として語られるフレーズの中から、先ず先週の“学”の観点から抽出してみました。

■子曰く、君子重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。忠心を主とし、己に如かざる者を友とするなかれ。過ちては則ち改むるに憚ることなかれ。《学而篇》

‥(訳)君子というのは、態度が重厚でなかったら、威厳が備わってこない。学問をすれば、それだけ頑迷さを免れることができる。常に誠実であることを旨とする。友を選ぶときには、自分より優れた人物を選ぶ。過ちを犯したことに気付いたら、すぐに改める。

⇒君子(立派な人間)たる経営者の威厳のバックボーンとして、学問による柔軟さと誠実さの重要性が説かれています。第4回の「知」に係る原則(下問・我師)に加え、優れた友を選ぶ姿勢が必要としています。なお、仁者は人を選ばないとありますが、私の理解では自分を磨いて『仁』に到る過程で良い刺激を受けるための選別と考えます。

■孔子曰く、益者三友、損者三友。直を友とし、諒を友とし、多聞を友とするは益なり。便辟を友とし、善柔を友とし、便倭を友とするは損なり。《季氏篇》

‥(訳)付き合って為になる友人が三種類、為にならない友人が三種類いる。為になるのは、剛直な人、誠実な人、博識な人である。逆に、易きにつきたがる人、人当たりの良い人、口先だけの人、これは付き合っても為にならない。

⇒上記の友について、益・損それぞれ対極の特徴を示して、為になる交友関係のポイントが示されています。

■子曰く、君子は食飽くことを求むるなく、居安きを求むるなく、事に敏にして言に慎み、有道に就きて正す。学を好むと謂うべきのみ。《学而篇》

‥(訳)君子は、食べ物や住まいについて、ことさら贅沢を願わず、行動は機敏に、発言は慎重を旨とする。そして、立派な人物を見習って我が身を正すのである。こうあってこそ、学問を好む人間と言えよう。

⇒君子の食・住に対する志向、軽口否定の有言実行、前記同様に謙虚に人から学ぶ姿勢の大切さが説かれています(以下三項も同様の内容を指摘)。

■子貢、君子を問う。子曰く、「まずその言を行いて、而る後にこれに従う」。《為政篇》

‥(訳)子貢が君子の条件について尋ねた。孔子が答えるには、「発言する前に、先ず実行がなければならない。言葉は後からついていくものだ」。

■子曰く、君子は言に訥とつにして、行いに敏ならんことを欲す。《里人篇》

‥(訳)君子は能弁である必要はない。それよりも機敏な行動を心掛けたい。

■子曰く、君子はその言のその行ないに過ぐるを恥ず。《憲問篇》

‥(訳)君子は、言葉だけが先走って行動が伴わないことを恥とする。

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