【⑧第8回:君子と小人(その1)】
今週末の広島は、①昨日の梅雨入り、②今日からのコロナ緊急事態宣言施行と、想定外の暗いニュースに晒されています。こんなご時世だからこそ、 上に立つべきリーダーは 目先の利益(cf.小人)を超えた高邁な理想を追求する「君子」のあるべき姿を示して欲しいものです。
■子曰く、君子は義に喩り、小人は利に喩る。《里仁篇》
‥(訳)行動に際して、義を優先させるのが君子、利を優先させるのは小人である。
⇒小人とは君子の逆、取るに足らない人間のことを指す。「論語」から“義”を学んだ渋沢栄一は、経済の仕組みと組み合わせ“義理合一”を目指し、著書「論語と算盤」を著しました。また、東京養育院の設立や経済活動の第一線から退いた後も、生涯にわたって福祉を実践した渋沢翁は決して利益優先の小人ではなく、君子そのものであった。
■子曰く、君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人はこれに反す。《願淵篇》
‥(訳)君子は人の善行は援助するが、悪事には手を貸さない。小人は逆である。
⇒前記のことが、善悪との絡みから表わされている。私は経営理念について、①存在意義、②経営姿勢、③行動規範の3つが不可欠と説いていますが、②正しいことを正しく行うことの意義に通ずるところです。
■子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。《子路篇》
‥(訳)君子は、協調性に富んでいるが雷同はしない。小人は、雷同はするけれども協調性には欠けている。
⇒不和雷同として知られる有名なフレーズですが、悪事であっても自分の興味や儲け話などに乗せられて徒党を組んで動く小人の雷同から距離を置きたいものです。
■子曰く、君子は泰にして驕らず。小人は驕りて泰ならず。《子路篇》
‥(訳)君子は、自信を持ちながら、しかも謙虚に振る舞う。小人は、傲慢に振る舞いながら、そのくせ自信に欠けている。
⇒確固たる信念の有無が君子と小人を分かつことが示されています。子路篇では、社長と部下に擬えた次のような言葉があります。
■子曰く、君子は事つかえ易くして説よろこばしめ難し。これを説ばしむるに道を以ってせざれば、説ばざるなり。その人を使うに及びては、これを器にす。小人は事え難くして説ばしめ易し。これを説ばしむるに道を以ってせずと雖も、説ぶ。その人を使うに及びては、備わらんことを求む。《子路篇》
‥(訳)君子に仕えるのは易しいが、気に入って貰えるのは難しい。何故なら、仕える時にはうまく能力を引き出して貰えるが、きちんと道理に適ったことをしなければ気に入って貰えないからである。これに対し、小人に仕えるのは難しいが、気に入って貰えるのは易しい。何故なら、見境なく仕事を押し付けて責任ばかり追及してくるが、道理に外れたことをしても気に入って貰えるからである。
⇒経営者の皆さん如何でしょうか?ダメ社長にダメな社員、そんな荒んだ組織を反面教師として、道理則ち経営理念を大切にして素晴らしい会社を創りたいものですね。