レジリエンスの鍛え方

 今月は“名著”ではないが、今春のNHK番組「クローズアップ現代」に採り上げられ巷で“話題”の本を紹介します。レジリエンス(resilience)とは、失敗を成長の糧にして成功へと導く力のこと。私が興味を抱いたきっかけは、バブル崩壊後の失われた10~20年(リーマンショック含む)からアベノミクス等々で立ち直りかけた日本経済に確信の持てない悩み(事実消費増税の影響で4月以降一時的落ち込み傾向)から、今後の事業経営の舵取りに漠たる不安を抱かれた顧問先の2世経営者の相談を受けたことからです。同社では本書のエッセンスを役員・営業幹部社員向けに、私自身の逆境体験も“笑い(涙)”のネタにしながら面白おかしく解説させて頂きました(※私の半生談について湖稜庵で何度かお話したことがありますが、皆さん異口同音にご自身の抱える逆境を小さく思える=結構凄い半生との定評があります…機会あれば湖陵庵研修の折にお話します)。
 本著著者の久世浩司によると、レジリエンスには3つのステージがあるとされます。①精神的な落ち込みから抜け出し「底打ち」した段階、②レジリエンス・マッスル(再起するための筋肉)を使って再起する段階、③過去の逆境体験から一歩離れて高い視点から俯瞰する段階、の3段階をそれぞれ自分自身の人生チャートとして客観視し、その逆境物語(レジリエンス・ストーリー)を再起した者の立場で語ることにより、再び自信を取り戻し目の前の苦難を自力で乗り越えていく強さと逞しさが身に付くとのこと。書名の「レジリエンスの鍛え方」は、具体的な以下の7つの技術を通してその力が養われるとされます。
【第1の技術】ネガティブ感情の悪循環から脱出する!~ネガティブ感情は自分にあった「気晴らし」の方法(①運動系、②呼吸系、③音楽系、④筆記系)でその日のうちに解消する。
【第2の技術】役に立たない「思い込み」をてなずける~心の中の7種類の「思い込み犬」(①正義犬、②批判犬、③負け犬、④誤り犬、⑤心配犬、⑥諦め犬、⑦無関心犬)に対処する3つの選択肢(追放・受容・訓練)により意図的に手放す。
【第3の技術】「やればできる!」という自信を科学的に身につける~自分ならやれば出来るという「自己効力感」を養うには4つの方法(①実体験:直接的達成体験、②お手本:代理体験、③励まし:言語的説得、④ムード:生理的・情緒的喚起)がある。
【第4の技術】自分の「強み」を活かす~「何事かを成し遂げられるのは『強み』によってである。『弱み』によって何かを行うことはできない」とのドラッカーの名言。自分の本質的な強みを発見する2種類の方法(①強み診断ツール、②強みコーチング)がある。
【第5の技術】心の支えとなる「サポーター」をつくる~幸せの原動力は人と人との親密性にある。家族・友人・同僚・恩師など自分にとって大切な5人を選び(5フィンガー・ルール)、いざという時のサポーターとしてリストアップしておく。
【第6の技術】「感謝」のポジティブ感情を高める~感謝には、①幸福度を高める、②ネガティブ感情の中和、③体の健康、④思いやり、⑤前向き、といったポジティブな感情を高める効果があり、「感謝日記を書く」「3つの良いことを思い出す」「感謝の手紙を書く」の3種類のテクニックがある。
【第7の技術】痛い体験から意味を学ぶ~もがき奮闘した人にもたらされる5つの成長(①生への感謝、②深い人間関係、③自己の強さ、④新しい価値観、⑤存在と霊的意識の高まり)。上述のレジリエンス3つのステージを俯瞰して、逆境の意味を学ぶ。

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