12月10日(月)は多くの企業・役所等での冬のボーナス支給日。20年前に脱サラした身の小生には縁遠く若干羨ましくも感じるこの日ですが、世の中はX`mas・お正月と消費が盛り上がる歳末セール時、小売店側ではいかに販売を伸ばすか…水面下での諸々の工夫を行っておられる商売人の皆様も多いことでしょう。
こうした中、先月11月27日「2018年広島市広域商圏調査」の結果が報じられました。①支持率トップは昨年に続いて『府中町周辺』(16.4%)、②第2位は『紙屋町周辺』(16.0%)、③第3位『八丁堀周辺』(15.4%)とベスト3の顔ぶれは前年と同じでした。しかしながら、何れも大規模改装が奏功したトップ集団で、①イオンモール広島府中の増床(一昨年11月)、②そごう広島店本館化粧品売場・バスマチストアの開店(今年4月)、③パルコ広島店(今年春・秋に40%の大改装)ともに、大きなお金を掛けながらいかにお客様を惹き付けるかの努力が背景に垣間見られます。
一方、④昨年のレクト開店(西区)に続いて今年4月にはジ・アウトレット広島(佐伯区)が開業した『商工センター周辺』(9.2%)の増勢の陰で、⑧支持率を大きく下げた『廿日市市役所周辺』(5.8%)、⑤2年連続マイナスの『宇品・皆実周辺』(8.7%)と優勝劣敗の構図は明らかとなりました。LECTはイズミ系、The Outlets はイオン系の“コト消費”を標榜する新業態商業集積なので、見方を変えれば“モノ消費”で中心街を凌駕し成長を続けてきた既存の郊外型大型量販店が曲がり角を迎えたことの証左と言えよう。毎年調査を実施している広島修道大学(商学部:川原教授)は、広島商圏は「オーバーストア(店舗過剰)の状態になり、中心街と郊外の競争だけでなく、郊外エリアの間でも競争が激しくなっている。ターゲット層を明確にした特色ある店づくりが集客のポイントになる」とコメントされています。
翌日から掲載された解説編の「競争の構図(商圏調査)から」のタイトルは、【上】郊外店 店舗過多に~シェア食い合い激化~(11月28日)、【中】中心街 改装で特色~再開発への対応が鍵~(11月29日)、【下】「コト消費」に照準~ネット通販に対抗~(11月30日)。小生評としては、オーバーストアは言わずもがな…ネット通販も既報(vol.45:小売再生)通り…、再開発に関しては平成10年の「中心市街地活性化法」制定により全国の中小都市で特色ある街づくりが進展していく中で、広島はあまりにも遅れ馳せながらの市街地再開発を伴う賑わい回復の動きなので決して褒められたものではない(※因みに本年10月に紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定)。しかしながら、益々高齢化が進展していく我々の生活環境の中で郊外分散型モデルの限界は明らか(無尽蔵な住宅団地の外延化が西日本豪雨災害の甚大な被害にも帰結)であり、都心部における公共交通や公共施設の再集約化を伴うコンパクトシティ化による求心力の回復は不可欠な流れと期待したい。
12月 2018のアーカイブ
【経営のプチ勘所vol.46:2018年ヒット商品番付~平成の輝きネバーエンド、踊り出す次代のヒット~】
12月5日(火)に日経MJ(流通新聞)恒例の「2018年ヒット商品番付」が発表されました。今年の東横綱は『安室奈美恵』、対する西の横綱は『TicTok』、大関は東『スマホペイ』、西『サブスクリプション』という顔ぶれ。他にも、東西小結に『Vチューバー』・『eスポーツ』、『カメラを止めるな!』(西前頭筆頭)、『新型クラウン』(前頭3枚目)、『バトルロイヤルゲーム』(前頭7枚目)などインターネット技術(SNS等)を応用した幕内力士が多数。皆なわかる方はどれほど居られるだろうか(正直、私は半分程度…利用経験はゼロです)?
前稿でネット攻勢に対抗するリアル店舗の術として「小売再生」を採り上げましたが、Windows95の発表から23年…我々の暮らしは着実にIT社会化が深化浸透しています。私も常々、C.ダーウィンの進化論を用いて“変化に適応する者のみが生き残る(そうでない者は淘汰される)”とSWOT分析の重要性を力説していますが、その変化の速さはドッグイヤーと称されるだけに想像以上のもので、今更ながら眼を見張るものがあります。
ところで、今回の巻頭タイトルには、平成最後に相応しい商品・サービスが並び、30年間を懐かしむような過去の流行のリバイバルが若い世代にも受け継がれているとある。アムラーのほかDA PUMPの『U.S.A』(東前頭筆頭)である。これはテレビを観ていると否が応でも目に飛び込んでくるので皆さん知っていますよね。若者ウケした勘所は“ダサかっこよさ”なんだそうで、他にも『グッチ』のリバイバルブーム、ダサいけど機能性が評価され人気の『ダッドシューズ』(東西前頭9枚目)などが入幕しています。
来年2019年は平成最終年、働き方改革、消費税アップと大きな変化が目白押しで、価格や時間の使い方が今以上に敏感になると言われています。
何れにせよ、時代の感性を受け止めチャンスに変える能力を経営者は失わないことです。ヒット商品番付には若者の方が相性も受容度も高いものが多いようですが、中高齢の経営層には経験に裏打ちされた羅針盤がある筈です。新商品・新サービスには使ってみて初めて解るものも多いだけに、来るべき変化の“肝心なところ(勘所)”をちゃんと理解し、的確な経営判断をすべくトレンドを抑え感性を磨いておきたいもの。先ずは、いくつになっても好奇心を失わない若さと、人の話を素直に聴く謙虚さを大切に日々精進しましょう。