【経営のプチ勘所vol.51:「論語」を読むシリーズ~第2回:人として大切な徳~】

シリーズ3稿目(第2回)は「徳」について。私自身またセミナーや経営相談を行う際の指針としてお話しすることが多い、とても大切な考え方です。なお、写真は鳥取県三朝温泉に程近い三徳山の有名な投入堂です。危険な絶壁にありますので、登山の心得をもって訪れてみてください。

知・仁曰く、知者は惑まどわず、仁者は憂うれえず、勇者は懼おそれず。《泰伯篇》

‥(訳)知者は迷わない。仁者は思い悩まない。勇者は恐れることを知らない。

⇒人としてこの世に生まれ磨くべき尊い資質である「徳」、孔子の論語では『知』『仁』『勇』の三つ、更に孫子の兵法では『信』(心服)と『厳』(威厳)を加えた五つで表している。

私は経営者の持つべき資質として、①『知』:情報力・先見力、②『仁』:判断力・決断力、③『勇』実行力・体力の6つのパワーと関連付けて体得頂くよう指摘させて頂いております。経営戦略の策定においては、理念の元にSWOT分析⇒コンセプト⇒成長戦略⇒事業戦略(MK営業・財務会計・人事労務・製造・研究開発等)の展開で計画策定(Plan)を行い、実行(Do)、統制(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルを回して業績アップを目指していくことが基本です。渋沢栄一が論語をベースとした日本的経営を樹立し、後の昭和名経営者たちにも多大な影響を与えた訳ですが、私の驚きは2,500年前の孔子の考え方が現代経営戦略に通ずる普遍性を有することです。

水と山・動と静:子曰く、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿いのちながし。《雍也篇》

‥(訳)知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ、と言われる。全くその通りであって、知者の方は活発に動き回り、仁者の方はどっしりと構えて動かない。その結果、知者は人生を楽しみ、仁者は長寿に恵まれるのだ。

⇒『知』と『仁』を体得した人間の行動特性が判り易く示されています。それに『勇』を加えた「徳」を身につけ、バランスのとれた人格を磨く必要がある訳ですが、私は心から自然を愛する姿と人生が一体という考えに共鳴します。よく忙しい人は山へ行け、イライラしている人は海に行けと言いますが、静かな深山に入ると心穏やかさが取り戻され、広漠たる海を眺めていると大洋感情が味わえるものです。私事ながら…趣味は登山にカヌー、天命を意識した五十歳に芸北研修所「湖稜庵」を西中国山地の聖湖畔に開設し、会員企業様には活用して頂く拠点としております。

[`evernote` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です