今日から自宅事務所はリフォーム工事入り…朝一番で業者との打合せを済ませると早速、足場組立が始まり煩いため逃げ出すように広島市立図書館へ。折しも各種資格試験シーズンで賑わう自習室の片隅に陣取り(自分も中小企業診断士受験時代に足繁く通い詰めた…)、今夏の新聞記事で気になって購入していた本「勉強の哲学」(千葉雅也:著)を持ち込み受験生に同化して独り“読書の秋”に浸りました。
本書選定の理由は、私が経営者に期待したい「生き残るのは変化に適応する者」という持論(≒ダーウィンの進化論)と、千葉さんの「この勉強論は現時点で生活を変える可能性が気になっている人に向けられている」との考え方がシンクロしていると思ったからです。哲学書なので難解な論調の本ですが、4章建ての各章毎に私なりに咀嚼した為になるポイントを以下紹介します。
第1章 勉強と言語
「勉強」は、むしろ“損をする”こと…かつてのノっていた自分をわざと“破壊する”こと…換言するに、勉強とはわざと“ノリが悪い”人になることである。
「言語」は、環境の洗脳を受け人生を左右し“支配”もするが、以前のノリ①から距離を置いて新しいノリ②へ“解放”する変更可能性も有する重要なコードである。
可能性の空間を開き自由になる条件は、「言語」の“道具的”な使用ウェイトを減らし“玩具的”な使用にウェイトを移すこと…即ち、深い「勉強」により「言語偏重」の人になることである。
第2章 アイロニー、ユーモア、ナンセンス
“玩具的”な言語使用とは、“ツッコミ”₌①アイロニー(根拠を疑う)と“ボケ”₌②ユーモア(見方を変える)で「コードの転覆」を図り別の豊富な可能性を見出すような思考スキルのこと。
①アイロニーと②ユーモアが過剰になると無意味になるので、第3極として“無意味”₌③ナンセンスな極限形態を考慮に入れて…その手前に留まることがポイント!
そうした試行錯誤の折り返し作業を“仮固定”して意味を成り立たせる足場となるのが「享楽的こだわり」=究極のノリであり、そのこだわりは「勉強」を通して変化する可能性を秘めている。ゆえに、「勉強」とは新たな「言葉」に出会い直すことを実現するものである。
第3章 決断ではなく中断
前章までの原理論を踏まえて本章から実践編に入る。
「勉強」を進めるための基礎的なテクニックとして、①現状把握⇒問題化⇒キーワード出し…という経営分析に通じるフレームワーク、②追求⇒連想の合わせ技を駆使して勉強を深め、③大きくて抽象的な間接的分野⇒近くて具体的な直接的分野へと複眼的に捉える思考法を磨く。
こうした過程においてどこかで享楽的に「比較の中断」を図り、ある程度でよしとする「勉強」の“有限化”を図ることが必要である(決して“最後”の「勉強」をやろうとしてはいけない!)。大切なのは「中断」(比較を続けながら比較をストップする=仮固定)であって、別の可能性につながる「勉強」は継続することにある。
自己分析ツール「欲望年表」をつくることで、自分の「勉強」の可能性は広がる…賢くなるために効果的な方法である。
第4章 勉強を有限化する技術
「勉強」の足場とすべきは専門書(○研究書…×一般書)であり、「勉強」の基本は“まとも”な本を読むこと(信頼できる著者による紙の書物)。最初の足場を仮固定できるような“入門書”を読むこと、出来れば複数の入門書⇒教科書⇒基本書の順序で進めること。
「勉強」とは自分で文献を読んで考察するのが本体であって、教師の話は補助的なもの即ち「勉強」の有限化(このくらいでいい)の一助と位置づける。従って「勉強」するにあたって信頼すべき他者とは、知的な相互信頼の空間に属している「勉強」を続けている他者=研究=学問である。
その他勉強を有限化する技術として、①テクスト内在的読書法、②二項対立への注目、③プロ&アマ両輪モードの勉強法、④タイムラインノート術、⑤箇条書きフリーライティング法(横断的に発想する技術)などの方策が有効である。
【経営のプチ勘所vol.30:人生100年時代をどう生きる(田中真澄 講演会のまとめ)】
去る8月26日(土)に「1万円出しても聴きたい講師Best3」で有名な田中真澄先生の講演会があるので一緒にどうですか?…とのある社長さんからのお誘いを受けて福山に行ってきました。私自身は恐縮ながら先生のことを存じ上げていなかったのですが、本HPvol.19に採り上げた「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」(2016年11月3日刊)と関連したテーマでもあり、また、Best3講師という興味(他の①稲森和夫、②船井幸雄さんは聴講済)にも魅かれて物見遊山で出掛けたものの、帰りには著書2冊を購入しサインまで頂くハマリ様(笑)。その理由は、日頃私なりに感じていたことを先生がピシャリ!と代弁して下さった感覚に陥ったから…本稿ではマスコミに登壇されない秘密のベールに包まれた田中講演録のエッセンスをまとめてみました。
【積極的に生きる~人生は今日がはじまり~】
《凡人の成功哲学:プロローグ》1.0(普通)の百乗は1、0.99(怠け者)の百乗は0.36、1.01(勤勉者)の百乗は2.70。即ち、小さな努力をコツコツ積み重ねれば秀才を超える!
《人生100年の生き方:本題》100歳時代の人生戦略。最近、LIFE SHIFTという本が出たが、内容は私が38年前から主張してきたこと。
1.人生観の変革
◆(従来)人生80年:就学期+就職期(65歳)+(以後は)定年後の余生~89%がサラリーマン社会ゆえ“武士道”で良かった~
◇(今後)人生100年:定年後は余生では過ごせない(年金が貰えなくなる時代)→余生という字は皆さんの辞書から消すこと!余生から 就商期~事業主としての“商人道”が必要で、自営業者・プロで生きること!(何か得意がある筈…それを磨いて活かすべし)。
ex.①右近サービス社:意外に需要があるのが「老人の話を聞く仕事」(元祖便利屋:お年寄りの話聞き業)
ex.②越中富山の薬売り:グループ繁栄の秘訣は一つ…七薬の訓え「楽すれば楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽がはるか楽楽」(日本は世界一長寿企業が多い。その中でも300年続く富山の薬売りの格言)
2. 仕事観の変革
◆(従来)日本人の89%はサラリーマンで8H労働基準法が適用される⇒快楽中心&自己中心の考え~定年後惨めな人生~
◇(今後)自業主およびその親族は労基法116条適用外の特権がある⇒勤勉志向&お客様中心・第一の考え~(人が遊んでいる時に働くことで)長い人生を勝ち残れる~
・自営業の成功の源は「良いお客に恵まれること」(商売はお客様の数で決まる…お客様が増えれば増えるほどいい)~We live on the list.顧客リストが生命:金額の“額”が大事(額は“客”を記した“頁”=顧客リスト)~
・成功する上で大事な事=①引き,②運,③学力~ex.①年賀状は出すこと!大体300以上の顧客リスト、ex.②私の名刺!〈年中無休24時間受付〉を1行加えた~
3.能力観の変革
◆(従来)所属価値:人の2倍働けば絶対成功する(日本電産創業者:永守重信)~∵8H労働+朝2H早目(遅起きより早起きが1.5倍の能率)=10H×1.5倍能率で2倍を実現~
◇(今後)存在価値:あなたは何ができるか、何が得意なのか。
・『能力』=「技術」10%+「知識」10%+『心構え』80%:毎日繰り返しの態度~機関車が確りしていれば後の客車は何とかなる~
・『心構え』(心を作る習慣:心構えは毎日作り直す必要がある)=前向き・積極的・明朗性ある…●『行動』+●『考え方』
●『行動』の習慣
…①早起き:6:30までに起きる~健康になり能率が上がる(人間は昼行性の動物だから当然)。ex.自衛隊の起床ラッパ5:55。
…②歩く:1秒2歩!~分(×60倍)×時(×60倍)=7,200歩けばボケずに済む∴目標1万歩/日(よい病院はこのテンポで看護師が歩いている…患者が元気になる)。ex.歩くことは最高の化粧水:若さのもと。
…③しつけ3原則(ホームトレーニング):「挨拶」+「返事」+「後始末」
・「挨拶」挨拶人間に不幸なし(人生を肯定してくれる:発声→勇気→自信:あかるく、いつも、さきに、つづける)
・「返事」ハイ=拝!(①声②姿③学問:返事は好感音♪ソの音で!自己抑制の気持ちが育つ~俺が俺がのガを抑え、お陰お陰の~)
・「後始末」キチンと脱いだ靴は揃える!ex.商店調査:周りが汚れていると気枯れする(商店街・お店・自宅)~これらのことは単純だが「知るとやるとは天地の差!~
●『考え方』の習慣
…①一点集中:一専多能「深く穴を掘れ!直径は自然に広がる」この順番が大事!ex.一寸法師:弱者>強者(一点の針先に集中して打ち込む cf.広い面積に打っても痛くない)
…②コツコツ、コツコツ:「一芸8年 商売10年」「桃栗3年、柿8年 汗と涙の13年、それでもだめなら20年」~慌てることはない、人生は長い、理想に向かって地味にコツコツ泥臭く努力する~
…③明朗性:「笑顔」+「陽転思考」
・「笑顔」毎朝起きたらミラートレーニング:笑顔は能力∴鏡の前で笑顔をつくる訓練~笑顔×3マメの肯定語調(相手を認める称える:周りも明るくなり、自分も明るくなる)ex.ブスは醜女でなく、毒(暗い顔)~
・「陽転思考」(プラス志向):どんな状況でも物事を明るく考え直す癖をつける。ex.松下幸之助は毎日30回「私は運がいい」と言い続けていた。
【まとめ】
・一所懸命:その姿に世間の支持が集まる。~ex.「所」靴磨きのオバちゃんが「はぁ~」と言いながら磨き続ける必死さに感動するcf.「生」ずっと命を懸けるとくたばるよ~
・人生は今日が始まり(昨日まではリハーサル):他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる(人間の生きる目的は一生涯自分を磨き、世のため人のために死ぬまで働くこと)。80才で死ねりゃいいがそうもいかない時代を低空飛行で100才までいくか…終身現役で流れ星の如く輝いて生きて…PPK(ピンピンコロリ)を目指そう!
【経営のプチ勘所vol.29:7月1日(土)経営考房 湖稜庵研修所プレゼンツ「経営の達人3本建て講演会」~②広島大学生物生産学部 三本木副学部長:講演要旨~】
「バーナード組織論の現場での応用」
広島大学生物生産学部 副学部長 三本木 至宏
〇謹読者(私)の研究動機
・バーナードが大著「経営者の役割(The Functions of the Executives)」を発行したのは1938年。21世紀の今日もなお組織論のバイブルとされる同書だが、現代社会での経験からくる違和感から、改めて原書を読み込み3つのエピソードを通して幾つかの最適訳を提起しつつある(※現在全370頁のうち61頁訳読:研究途上)。
〇エピソード(1)
・組織の存続条件は従来、①有効性(effective)と、②能率(efficient)と表現され、謂わば経営学の常識とされてきた。それに対し、三本木氏は現場フィルターで濾過した新訳として、①効果(目的の達成)と、②効率(個人の満足)を掲げ、両条件をより明確に対比し、①はショッピングモール、②は商店街に擬えて、衰退した商店街をSC化するという解決策の限界を指摘。
〇エピソード(2)
・有名な公式組織の権限受容説で前提となっている「無関心圏」という概念など、バーナードが“学者”発ではなく米電話会社の社長として“実業家”発(ドラッカーと同じ土俵)で組織社会に切り込み共通理解としての経営者を紐解いたこと。
〇エピソード(3)
・奈良薬師寺食堂にある阿弥陀浄土図を示し、バーナードが概念を定義する時は「色気のない言葉」を使うこと、そして三本木氏は「色のない深層を土台とする色気は美しい」と表現された。
【山根:評】3つのエピソードとも、三本木先生によるバーナードとの時空を超えた対話が根底に流れていることに気付かされる深遠な研究発表でした。小生も学生時代に「経営者の役割」は読みましたが、何の疑問も持つことなく今日まで使ってきたキーワードについて、正に的確な指摘を聴いてハッと後ろ頭を殴られたような新鮮な感動を覚えました。
【経営のプチ勘所vol.28:7月1日(土)経営考房 湖稜庵研修所 プレゼンツ「経営の達人3本建て講演会」~①アヲハタ㈱ 野澤社長:講演要旨~】
「私の今に至る歩みと会社の経営理念、目指す姿」
アヲハタ㈱ 代表取締役社長 野澤 栄一
〇私の歩み(自己紹介)
・田中真澄 氏の成功哲学との出会いから、1989年にはマンダラート(思考の整理方法)で自身の人生設計図を描いてきた。また、北海道日本ハムの大谷翔平 選手が花巻東高校時代にマンダラートで掲げた目標、①日本一になる、②日本人最速の163km/hを記録する、③ドラフトで菊池雄星(先輩)を越える8球団から1位指名を受ける、の身近な例示により思考整理の有効性についても言及されました。
・①夢(青春常駐)、②情熱(勇猛精進)、③執念(即是道場)を人生の経営理念とし、今日の働き甲斐、生き甲斐が持て、自身と会社の成長が一致する会社を目指して奮闘中とのこと。
〇私の事業観(仕事観)
・企業の目的は「社会貢献」、“利益”はそのための大切な原資。「会社に関わりある人」との信頼関係を強めながら“利益”を最大化することに全力を注ぐことが“正しい利益追求”のあり方である。
・社長の使命は会社の永続的存続・発展をはかる=「未来責任」を果たすこと。その為になすべきは、①事業革新、②集団意識のマネージメント、③関係性の構築(維持・向上と開拓)である。
〇アヲハタグループの経営理念
・社訓「正直」「信用」「和」とは、缶詰は中が見えないからこそ、人々の期待を超える信頼を大切にしなければならないという創業来の想いが込められており、こうした経営理念を体現する人材、信用、技術力がグループ成長の源泉である。
・ノートルダム寺院「三人の石工 の逸話」から、“働く”ということの意味は自分以外の誰かを幸せにすること(傍を楽にする)。
〇アヲハタグループの目指す姿
・中長期的には「ジャムのアヲハタ」から「フルーツのアヲハタ」へ針路を向け、“食生活”にとどまらず“生活シーン”を彩る会社を目指す。
・それを実現する羅針盤として、①先ずは「イチゴのアヲハタ」というイメージを確立するため、全社で展開して改革と成長を進めること、②「イチゴ」をセンターピンに展開して、「フルーツのアヲハタ」へと発展していく。
【山根:評】中小企業診断士の受験勉強を糧に、当時出向中の子会社の経営再建を成功させた野澤社長らしい理論と実践が伴う素晴らしい発表でした。あれから約10年が経過して、本社ならびにグループトップに就任された今日、若い頃から夢を持ち目標を定めて歩み‥そして様々な苦労を乗り越えてこられた経験を次世代の社員皆んなに伝えたいという情熱と愛情に胸が熱くなりました。
【経営のプチ勘所vol.27:第50回小売業調査】
1967年に始まった日経MJの小売業調査が半世紀を経て‥第50回目の結果が昨日28日(水)記事にて発表されました。今月の勘所は本記事を概観してみました。
第1面のトップ記事&挿絵写真は広島のLECT!通常のSCでは5割を占めるアパレル比率を3割に下げる「衣食住」ならぬ「知食住」のコンセプトが紹介されてます。
今回の調査では、小売り・消費再編 の半世紀と題して‥百貨店(大丸・三越etc.)→大型スーパー(ダイエー・イオンetc.)→専門店(コンビニ・ユニクロ・ニトリetc.)→インターネット通販(アマゾンetc.)への業態盛衰を消費者のライフスタイルの変化 と共に分析。
デフレ進行も相俟って長きにわたり小売業を席巻して来たGMSも曲がり角…ライフスタイルの変化に対応できないお店の淘汰・閉鎖が相次ぐ今日、首位のイオンは有望なGG時代(グランドジェネレーション:55才以上のシニア層)に対応するべくスクラップ&ビルドを進めているとのこと。また、行政も買い物難民対策で「買い物バス」を走らせるで協調するなど、これらの「イオンスタイル」冠名の店舗に生まれ変わりつつある様子が紹介されています。
私はLECT開店前夜のプレ・オープン時に、最初の雑感としてネットショッピング(クリック仮想店舗)との差別化が中途半端との手厳しい寸評を発信させて頂きました(4月28日vol.25)。その後も、地元西区民でもあるので仕事の合間に何度も足を運ばせて頂いております。
広島の地元イズミが中心となって打ち出した新業態LECT が、果たして小売業の再活性モデルになり得るのか…。全国的に注目されるリアル店舗(モルタル)だけに、今後も地元の消費者目線 で定点観測してみたいと思います。
【vol.26:業績連動型の人財戦略(育成・評価制度)とは…】
一昨日の5月20日に中小企業診断協会より「永年貢献表彰」に授かり、お陰様で事務所開設から20年を迎えました。戦略提言型診断士という定評が浸透しているためでしょうか…最も多いご依頼案件は #経営計画 の策定支援で、これまでに何百社もの計画づくりをご支援させて頂いてきました。
“陸のものか海のものか判らない”信用希薄な駆け出しから10年目頃までは、公的機関からのご依頼案件(公共下請)の比率が高かったのですが、その後、一定の信頼ブランドが醸成されて以降、官民比率が逆転して現在では8割方の仕事が特命案件(民民元請)となりました。
民間案件の場合、ご依頼企業様の最大関心事は何と言っても業績アップにある訳で、私の仕事内容も計画策定に留まらず仕組みづくりやモニタリング、フォローアップ等々徐々に実行支援のウェイトが高まってきました。こうした中で必ず直面するのが最大の経営資源「ヒト」の問題、即ち、会社が掲げた経営目標の達成に向けて、最大パワーを発揮して柔軟に動ける組織づくりの設計・運用という経営課題の壁に正対することになります。この問題は一人親方やパパママストア等の小規模・零細なうちは形を潜めている(問題は顕在化しない)訳ですが、中小・中堅企業へと組織規模が拡大するに連れて表面化し、悪くすれば目標達成はおろか足元を掬われ兼ねない事態から会社の活力が奪われてしまうという厄介な状況に苛まれるケースも多々見られます。
では、どうすれば良いのでしょうか?私の結論は戦略実現に最適な組織の仕組みを造ること、即ち、上述の流れの通り、(1)本物の経営計画を策定(理念設計・SWOTに基づくコンセプトメイキング・各種戦略設計)し、(2)計画実践のマネジメント基盤を構築(PDCAの進捗管理・ボトムアップ型チームマネジメント)することです。(2)の中で「ヒト」の活性化に効果的な人財育成・評価制度の設計が重要で、そうした制度設計のステップは概ね次の通りとなります。
①中長期人財戦略の明示・共有‥‥現在から未来への人財育成、レベルアップ目標の明示と上司・部下間での共有
②人事評価・賃金制度の設計‥‥‥人財育成型の目標管理制度、納得感ある評価制度(賃金・モチベーション策等)
③全体最適型組織制度の運用‥‥‥人事評価・分析→考課・賃金検討会議→育成面談→PDCA達成支援(短中長期サイクル)
なお、上記の流れは飽くまでも概略ですがそれ故にどんな会社にも有効です。但し、実際に当該企業に最適な制度は決して一律のプロトタイプではなく、企業毎に異なる経営資源や目標を反映した客観具体的な制度設計と状況対応型運用が必要なことは言うまでもありません。ただ、組織の成長発展という長い道筋において、一見回り道のようにも思えるこうした考え方を踏まえて一貫した人財戦略を体現できれば、目先の業績の浮沈に左右されない本物の組織パワーの充実が図られ、結果として業績向上という果実が継続して稼得できるものと確信します。
【vol.25:クリックvs.モルタル~LECT開店に想う買物行動の変化と提案力~】
※本投稿は4月25日個人FB投稿(※前半)を経営考房の勘所シリーズ(※後半)に再編したものです。
今日は午前中に新規先協議(東区)と既存先継続契約(中区)の業務を終え、本日プレオープンの #LECT (西区)へ行って昼御飯。
13時を過ぎているので混雑なく食べられるかと思いきや‥初出店に弱い広島人の行列が一番長かった日本橋2看板店の一つ「日本橋海鮮丼つじ半」で、ご祝儀がてら事業者側が粗利面で一番喜ぶ “竹”(980円税別)を並んで食べました。貝はコリコリ、刺身もまずまずながら…待ち時間が長かったせいか、締めの出汁茶漬けが温めだったのが残念!
噂通りご飯屋さんは充実(國松や蓬莱など広島の人気店も集結)してるので、次回は開店フィーバーが落ち着いた頃合いに、一番人気の「日本橋天丼金子屋」に行ってみようと思ってます♪
腹が一通り起きて店内ウォッチング‥①天井まで連なった壁面陳列が印象的な代官山 #蔦屋書店 のHiroshima版 T-SITE(店員さんが忙しそうだったので、棚の上の本をどうやって取るのか質問しそびれてしまった!)、②北関東~中部~北陸地方を席巻するHCの雄 #CAINZ でお買い物(福井での仕事の時に度々訪れてましたが、流通激戦区で揉まれているだけあって‥やはり品揃えと低価格は群を抜いてます!)。
入店時間のお昼過ぎには満杯だった駐車場も、16時過ぎ帰る時間にはガラガラ‥#オーバーストア 元年の気配も!?また、ライバルは #ネット通販 というLECT店長談もありましたが、私が先日ネットで購入した4割引商品(定点観測)が平気で定価販売されていたり…#消費者行動 の進化を見誤っている観もあるようなのが懸念されます。因みに、私のお財布は気がつけば2万円がなくなってましたの巻(笑)?!!
さて、本日28日(金)#LECT はGRAND OPENを迎え、テレビでは遠方から多くのお客さんで賑わう様子が報じられています。そこで先日25日(火)の個人投稿を受けて、#クリック(#ネット販売)vs. #モルタル(#リアル店舗)について所感を加えさせて頂きたいと思います。
日本の小売業販売構造は時代と共に移り変わり、ピークの1991年バブル時に10兆円に迫る勢いだった #百貨店 売上は長期低落傾向を辿り、2016年には1980年以来36年振りに6兆円を割り込みました。その一方で #EC市場 は毎年約二桁の伸び率を辿り、前の年に百貨店総売上を抜いて高い成長を続けています。先述の「ライバルはネット通販」という談話を裏付ける数値と言えます。
“毎日、行きたくなる。わざわざ行きたくなる。”は #LECT のCMで使われているフレーズ…消費者の買い物行動における非日常の期待感をくすぐる名キャッチコピーですね。
ところが、実際の買物となるとどうでしょう?。これだけスマホが普及した今日、リアル店舗で何か面白い“発見”があっても、恐らくその商品をネット検索してみて、結局“#価格”で購入先を選定する方が少なくないのではないでしょうか?こうした #購買行動 に太刀打ちするだけの“商品提案力”や“説明納得力”がお店側には求められます。
先日の経験で言うと、他店・他サイトで販売されている価格を熟知すること…NB等一般的な商品でなく消費者マインドを理解した付加価値商品を発掘すること…個客の興味に合せたツボにハマった使用価値提案を行うこと…それには商品を発掘するバイヤー、店頭接客する店員など“#人財力”を相当に高めていく必要があります。
【vol.24:“タラレバ娘”ならぬ“デモシカ親爺”はご注意】
年度末の残務整理を終え‥今日は4月1日、午前中にジョギングと溜まり込んでいたビデオ?鑑賞、午後は5時間に及ぶ四球・失策・残塁戦となったCARP?テレビ鑑賞。締まらない試合内容も勝てば結果オーライ…久し振りの怠惰な週末を過ごしておりますf(^_^)。
さて、東村アキコさん原作のドラマ「東京タラレバ娘」には賛否両論が沸き起こっていたようですね⁉「もし~していタラ」「もし~していレバ」と、仮定の婚活談に盛り上る吉高由里子・榮倉奈々・大島優子アラサー3人娘のストーリー。現実とは無関係な“他力本願”な仮定に一喜一憂する点は賛同しかねますが、まだ“前向き”な点が有る。Perfumeの主題歌「東京ガール」も素敵な曲だし…私は毎週面白く観させて頂きました(*^^*)。
問題は‥“デモシカ親爺”。この用語は戦後から高度成長期にかけて‥なり手の少なかった「公務員にデモなるか」「公務員にシカなれない」という侮蔑的イメージから、“デモシカ先生”というのが有名(安保闘争や組合活動に現を抜かすデモしかしない‥の意味も)。
この親爺は我々世代の起業に絡んでよく見られ、創業塾の参加者で言えば約1割位を占める‥所謂、リストラ中高年のケースに多いようです。
彼らによく有るのが「麺屋デモ始めるか」「粉もん屋シカ出来そうにない」などと言って、一番後ろの方の席でやる気無さそうに座ってる元サラリーマン諸兄。
簡単そうだから自分にも出来そうだ‥粗利も高くて儲かりそうだ‥という甘い考えですが、当然ながら‥起業とは社長として一切のリスクを引き受ける覚悟が不可欠❗“デモシカ”という“後向き”発想では成功は覚束ないし、素人レベルの味でお客様の支持が得られると思うことは浅薄な限り(-“”-;)
起業にはおカネが絡むだけに、残念ながら‥無計画な挑戦のせいで人生を台無しにすることも有り得る訳です。
昨今は四半世紀振りの雇用環境の改善で、あまり問題視されなくなりつつありますが、バブル崩壊後の長きにわたって繰り返されてきた問題でもあり、やはり自分磨きを怠っていると世の中に翻弄される羽目になるのでご注意を❗
また、新年度になって5月病の時期になると、会社に入ってすぐに辞める若者も目立ち始めます。何れにせよ、夢を実現させるにはそれなりの下準備が必要‼確かベストセラー本(グッドラック)の一節に「幸運は偶然にはやって来ない‥下拵えをした者のもとに平等にやって来る」というのがあった。経営者の方は特に“他力本願”でなく、“自力本願”で未来を切り開いて欲しい。
【vol.23:サービス等生産性向上IT支援事業(IT導入補助金)】
朝から雨模様の昨日、午前中に広島市の窓口経営相談2社アドバイスの後、お昼ご飯を食べる時間も取れないまま広島県情報プラザへ移動。夕方まで広島県の「平成29年度中小企業向け支援制度合同説明会」へ参加して来ました。アベノミクスの一連の経済活性化施策の中で、今回の目玉は「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」です。
産業系補助金と言えば5年目を迎えた「ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金:1月18日締め切り)」が有名ですが、認知度の高まりとともに…また、最大3,000万円という補助金額の大きさ等から年々採択率が低下。前回「日本再興戦略2016」に位置づけられた第4次産業革命枠が新設されるも、技術的訴求ポイントが明確な製造業(ものづくり企業)や財務内容が充実している中堅・大手に比べ、中小零細の商業・サービス業の当選は厳しいというのが審査経験のある私の実感でした。
それに対し、この「IT導入補助金」の対象は中小サービス業(飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等)のみならず、医療法人、社会福祉法人、NPO法人にも対象範囲が拡げられています。補助対象はソフト(単体ではなく複合)に限定されハード設備は対象外ということ、また補助上限額も100万円(3分の2補助)と小粒ではありますが、申請書の作成は登録済ITシステムベンダーが代行することとなっており、不慣れな中小企業者が苦労して作成する必要がないので気軽にご活用を検討されてみては如何でしょうか。
なお、本補助金の1次公募期間は1月27日~2月28日ですが、今後追加で2次公募期間3月~6月が予定されています。
昨春、国の表彰制度として「日本サービス大賞」が創設されました。先進国の中で低位な生産性に留まるとされるサービス業への梃入れ元年として、日本の就業者の約7割が雇用されている第3次産業のバックオフィス業務を効率化し、新たな顧客獲得等の付加価値向上に資するITツール、アプリ等の導入を支援し、生産性の向上を図ることが目的とした本支援策に乗るか否かの判断は今後の経営力格差の分かれ道にならないとも限りません。お付き合いのある中小企業の皆様が″勝ち組(生き残り)″として戦略的に事業展開されることを期待します。
【vol.22:プレミアムフライデー(Premium Friday)始まる!】
昨年8月23日速報【経営のプチ勘所vol.16 Premium Friday(仮称)】…仮称が取れて、いよいよ今月24日(金)からスタートすることになりました。
本制度は「日本再興戦略2016」のGDP600兆円を目指す官民連携プロジェクトの一環としての所謂″①消費喚起策″が主目的であって、″②働き方改革策″としての位置付けは曖昧なほか、以下のような企業間格差や明暗二極化という問題が表面化するのではなかろうか。
①消費喚起は果たして可能か?…月末週は通例多忙というのが一般常識、25日給料日の会社が多いことで財布の紐をくすぐられることは予想される(2月は24日ですが…)。実際にアメリカの年末商戦を真似て、昨年11月25日(金)に先行実施された「ブラックフライデー」では消費支出が例年比20%増という効果も現れたとの報告もあります。
しかし、時節柄お歳暮など歳末消費の先食い前倒しと考えられるほか、日本の産業構造の約7割を占めるサービス等第3次産業の就業者は逆に書き入れ時ということで無理なため、果たして継続的な効果のほどはいか程か?少なくともドカーンという訳にはいかないのではと思われます。
②働き方改革につながるか?…長時間労働が問題視されている労働環境を勘案すると、毎月最終金曜日には午後3時に仕事を終えて退社しよう!という呼び掛けは一石を投じる効果は認められる(強制力は無い制度ながら…)。
昨今、電通問題で敏感になった大手各社が挙って残業削減しようとする動きがみられますが、そもそも氷山の一角が表面化したもの。また、働き方という構造改革にメスを入れるものではなく一時的な対応と見ざるを得ないこと、百歩譲って大企業は制度設計の工夫で対応可能としても、経営資源が脆弱な中小零細企業にとっては一人ひとりの時間を削減するのは非常に困難なことは言うまでもありません。
最近、自由裁量制の拡大により会社への出勤日数・時間数を削減し、代わりに自宅での労働を認めて潤いある生活・仕事の両立を目指そうという先進的企業が増えつつあります。こうした働き方が成立する前提として高い課業成果が問われるのは自明の理…会社にとって真に財(たから)となる少数のデキる″人財″はともかく、大多数のデキないぶら下がりの″人罪″には厳しい将来が予見されます。